親知らずで喉が痛い?原因と対処法をわかりやすく解説

親知らずと聞くと、「歯が痛む」「頬が腫れる」というイメージが強いですが、実は喉に痛みを引き起こすこともあります。
これは、周囲が腫れたり、顎の筋肉にも炎症が起きていることで、喉にまで痛みが出ているからです。
「唾を飲み込むと痛い」「口が開かない」という症状がある場合、親知らずが原因かもしれません。
本記事では、少しでも痛みや不安が解消できるよう、親知らずで喉が痛くなる原因や対処法をわかりやすく解説します。
つらい痛みをやわらげるヒントとして、ぜひ参考にしてください。
親知らずが喉に痛みを引き起こす原因は主に2つ

親知らずが原因で喉に痛みを感じることは、決して珍しいことではありません。
「歯のトラブルなのに、なぜ喉が痛むの?」と思う方も多いかもしれませんが、これは親知らずの炎症が周囲の組織や筋肉に及ぶために起こります。
主に以下の2つが、親知らずによって喉が痛む原因とされています。
抜歯後の炎症
親知らずを抜歯したあとは、歯茎や周囲の組織が一時的にダメージを受けた状態になり、炎症が生じます。
抜歯部分の傷口に炎症が起こると、腫れや痛みが周囲へ広がり、喉の奥のほうまで違和感を覚えることがあります。
抜歯直後は体の免疫力が一時的に低下しやすいため、いつも以上に感染や炎症が起こりやすくなる点も要注意です。
特に、下の親知らずを抜歯した場合、炎症が喉の近くの筋肉やリンパ節に及びやすく、飲み込むときに喉の痛みを感じるケースも少なくありません。
智歯周囲炎
智歯周囲炎とは、親知らず(智歯)の周囲の歯茎に細菌が感染し起こる炎症です。
親知らずが部分的に歯茎に埋まっていたり、歯ブラシで磨きにくい位置にあると、歯垢や細菌が溜まりやすくなり、炎症が起こりやすくなります。
進行すると、顎の奥や喉の周辺にまで腫れや痛みが広がり、飲み込むときに痛みを感じたり、口を大きく開けられないといった症状が現れることもあります。
親知らずが原因で起こる智歯周囲炎(ちししゅういえん)とは?

ここでは、抜歯前の親知らずの痛みの原因になることが多い智歯周囲炎について詳しく解説します。
親知らずの周囲が腫れて膿がたまる
炎症が起こると、親知らずのまわりの歯茎が赤く腫れ、膿がたまることがあります。
これにより、患部が圧迫されるような不快感や、ズキズキとした痛みを感じるようになります。原因は、細菌が増殖することで歯茎の内部に炎症が起こり、膿がたまりやすくなるからです。
親知らずの周囲が赤く腫れる、指で触れるだけでも痛いといった症状が見られることもあります。
さらに、膿がたまってくると、炎症による圧迫感が強まり、歯や顎全体に重だるさを感じることもあります。
膿の量が増えると細菌が繁殖しやすくなり、強い口臭を引き起こすおそれもあるため注意が必要です。
歯茎内部に炎症や膿がたまることで、日常生活にも支障が出るほどの痛みや不快感が生じることがあるため、早めに口腔ケアを行うことが大切です。
顎の筋肉にも炎症が広がり、口が開けづらくなる
智歯周囲炎が進行すると、炎症は親知らず周囲の歯茎だけでなく、顎の筋肉や関節にまで広がっていきます。
特に炎症の影響を受けやすいのが、内側翼突筋(ないそくよくとつきん)という筋肉です。この筋肉は、下顎を動かす役割を持っており、親知らずのすぐ近くに位置しています。
炎症が内側翼突筋にまで及ぶと、口を開ける・閉じる動作が困難になり、「口が開かない」「噛むと痛い」といった症状が現れるのです。
痛みがある場合、そのまま放置してしまうとさらに症状が悪化してしまうため、自己判断せず、早めに歯科または口腔外科を受診しましょう。
喉や耳の奥に痛みが放散する
智歯周囲炎による炎症が深部にまで及ぶことで、喉や耳の奥にまで痛みが広がる「放散痛(痛みの原因となる部位と異なる部位に生じる痛みのこと)」が起こることがあります。
飲み込む動作に使う筋肉にも負担がかかるため、「唾を飲むだけで喉が痛い」というケースも少なくありません。
「喉がイガイガする」「耳が詰まったように感じる」など、一見すると親知らずとは無関係に思える症状でも、実は炎症が根本原因になっている場合もあるため、注意が必要です。
飲み込むときに使う筋肉に負担がかかる
親知らずの周囲が炎症を起こすと、咀嚼筋(そしゃくきん)や咽頭周囲の筋肉にまで炎症が広がることがあります。
咀嚼筋は、食べ物を噛んだり、飲み込んだりするときに使われる大切な筋肉です。
特に、内側翼突筋(ないそくよくとつきん)や顎二腹筋(がくにふくきん)などの筋肉は親知らずの近くにあるため、炎症の影響を受けやすいといわれています。
無理に動かすと、さらに痛みが悪化することがあります。食事をする際には大きく口を開けたりするのは避け、早めに歯科医院で診察を受けることが大切です。
親知らずが原因の喉の痛みはいつまで続くの?

抜歯後の炎症は通常数日で症状が落ち着きますが、痛みや腫れが悪化する場合は感染が広がっている可能性があるため、すぐに歯科医院に相談しましょう。
智歯周囲炎による喉の痛みは、個人差はありますが、適切な処置を行えば数日から1週間程度で改善することが多いです。
ただし、炎症がひどい場合や、症状が悪化した場合には、痛みが2週間以上続くこともあります。その場合は、必ず歯科や口腔外科を受診するようにしましょう。
親知らずが原因で喉が痛むときの4つの対処法

喉の痛みがつらいときは、少しでも症状を和らげるために、できるだけ早く適切な対処を行うことが大切です。
親知らずが原因の場合でも、次のような方法で痛みを軽減できる可能性があります。
1.薬を服用する
痛みや炎症を抑えるために、市販の鎮痛剤を服用するのも一つの方法です。
市販のロキソニンやイブプロフェンなどの鎮痛剤を使用すると、一時的に痛みを軽減できます。抜歯後の痛みや智歯周囲炎による痛みに有効です。
ただし、智歯周囲炎による痛みの場合、鎮痛剤を飲むだけでは解決になりません。
抗生物質や消毒などの治療が必要であるため、痛みや炎症がある場合は我慢せず早めに歯科医院を受診しましょう。
2.患部の近くを冷やす
外側から冷たいタオルや保冷剤で冷やすことで、血管が収縮し、炎症による腫れや痛みが和らぐ場合があります。
保冷剤をタオルやハンカチなどで包み、冷たい水で濡らしたガーゼを頬の外側に10〜15分程度当てるのが効果的です。
ただし、長時間冷やしすぎると逆に血行が悪くなり治癒が遅れるため注意が必要です。
適度に冷却して、つらい痛みをやわらげましょう。
3.うがい薬で消毒をする
口内を清潔に保つために、殺菌作用のあるうがい薬を使用するのも一つです。
口内の細菌が炎症を悪化させることがあるため、殺菌効果のあるうがい薬を使用することで清潔を保つことできます。
市販のイソジンやクロルヘキシジンを含むうがい薬を使用することで、膿や細菌による感染の広がりを抑える効果が期待できます。
こまめにうがいを行い口内環境を整え、回復を早めましょう。
4.体を休める
十分に体を休めることで、痛みや炎症の回復を早めます。
疲れがたまっていたり、体調が悪かったりすると免疫力が低下し、炎症が悪化しやすくなります。
睡眠不足やストレスに気を付け、栄養バランスの良い食事と十分な睡眠を意識しましょう。体がしっかり回復モードに入ることで、痛みも自然と和らぎやすくなります。
無理をせず、栄養と睡眠をしっかり取ることが、自然治癒力を高めるうえで大切です。
早く回復しなければと焦ってしまいがちですが、十分な休息をとることが、痛みや炎症の回復を早める近道になります。
親知らずが原因の喉の痛みを予防する方法

親知らずによる炎症や痛みを防ぐには、普段の口腔ケアが大切です。
炎症が起きにくい環境を整えることで、親知らずのトラブルによる不快な症状を回避し、口腔の健康を保つことができます。
ここでは、親知らずが原因で起こる喉の痛みを予防するための具体的な方法を紹介します。
適切な口腔ケア
口内を清潔にすることで、親知らずによる炎症や喉の痛みを抑えられます。
歯の磨き残しや歯垢があると、細菌が繁殖し、炎症のきっかけとなってしまいます。
特に親知らず周辺は、奥に位置していて歯ブラシが届きにくいため、意識して丁寧に磨くことが必要です。
歯磨きに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシでの汚れ除去、殺菌作用のあるマウスウォッシュなどを取り入れると、より効果的に口内を清潔に保てます。
また、定期的に歯科での検診を受けたり、歯のクリーニングを行ったりすることで、トラブルの早期発見・予防にもつながります。
生活習慣を整える
口内の健康を保つには、規則正しい生活やバランスの取れた食事をとり、生活習慣を整えることが大切です。
不規則な生活や偏った食事、睡眠不足は免疫力の低下を招き、炎症が悪化しやすくなります。
親知らずによる腫れや痛みを予防するには、体のコンディションを整えることが大切です。
たとえば、ビタミンやミネラルを意識して摂取し、バランスのとれた食事を心がけることで、口内の粘膜や歯茎が健康な状態に保たれます。
さらに、十分な睡眠をとることで免疫機能が高まり、炎症のリスクを抑える効果も期待できます。
ストレスをためない工夫や、適度な運動をすることも、免疫機能を支えるポイントです。
毎日の小さな意識の積み重ねが、痛みの予防と早期回復につながります。
親知らずを抜歯する
繰り返し炎症が起こる場合は、解決策として抜歯が推奨されることがあります。
特に、親知らずが斜めに生えていたり、横向きで歯茎に埋もれているような場合、歯ブラシが届きにくく、食べカスや汚れがたまりやすい状態になっています。
この状態が続くと、細菌が繁殖して炎症を引き起こしやすくなり、結果として喉の痛みや口が開きにくいなどの症状を繰り返すリスクが高くなります。
親知らずを抜くことで、炎症や膿の再発、虫歯の進行などのリスクを減らせるため、口内の健康維持につながります。
もちろん、すべてのケースで抜歯が必要というわけではありません。痛みが頻繁に出る場合や、食事に支障がある場合は、早めに歯科医師へ相談して、自分にあった処置を相談することが大切です。
親知らずが原因の喉の痛みで病院を受診する目安は?

親知らず抜歯後の一時的な腫れの場合、医師の指示通り薬を服用していれば、数日様子を見ることで治まることがほとんどです。
しかし、喉の痛みが数日経っても引かない場合や熱が出た場合、他にもリンパが腫れた場合は炎症が広範囲に広がっている可能性があります。
このような状態を放置すると、さらに症状が悪化し、全身に影響を及ぼすリスクもあり危険です。
喉が痛むほど炎症が進んでいる場合は、速やかに歯科や口腔外科を受診し、適切な治療を受けましょう。
まとめ
親知らずが原因で喉が痛くなることは珍しくなく、抜歯前の親知らずの場合、多くは「智歯周囲炎」という炎症によって起こります。
放置すると、口が開かなくなったり、痛みが広がったりして、日常生活に支障が出ることもあります。
市販薬や冷却などの応急処置はあくまで一時的なものであり、根本的な改善には歯科での診察が必要です。つらい症状を我慢せず、早めに対処することで、より早い回復が期待できます。
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「喉が痛いけど、もしかして親知らずが原因?」「親知らずの生え方が良くないが、抜歯したほうがいい?」など、親知らずについてお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。