親知らずの痛みにピークはある?時期や対処法を紹介

親知らずの痛みには、ピークと呼ばれる痛みが強くなる時期が存在し、原因やタイミングによって痛み方も異なります。
また、抜歯後にも痛みのピークが訪れることがあり、対処法を間違えると回復が遅れる可能性があるため、注意が必要です。
この記事では、親知らずの痛みのピーク時期や症状、正しい対処法、注意すべきNG行動、受診の目安まで解説します。
親知らずの痛みにはピークがある?

親知らずの痛みには、ピーク(痛みを強く感じる時期)があります。
自然に痛みが生じる場合と、抜歯後に痛みが発生する場合の両方に共通して見られる特徴です。
いずれの場合も、ピークを過ぎれば徐々に痛みが和らぐ傾向にあります。
親知らずが痛む原因とは
親知らずが痛む原因は、主に炎症や周囲の歯・歯茎への圧迫によるものです。
まっすぐに生えずに横向きに生える水平埋伏智歯の場合、隣の歯に圧力がかかり、痛みや腫れが生じることがあります。
また、親知らず周辺は歯ブラシが届きにくく、食べかすが溜まりやすいため、虫歯や歯周病によって痛みを引き起こすこともあります。
痛みのピークはいつ?
自然発症と抜歯後では、痛みのピークが訪れる時期に違いがあります。
自然に親知らずが痛む場合は、炎症の進行に伴い1〜2日目にピークが訪れることが多く、適切なケアをすれば数日で治まります。
一方で、抜歯後の痛みは術後すぐではなく、麻酔が切れる数時間後から強くなり、1〜3日目にピークを迎えるケースが一般的です。
このように、痛みの種類とピークの時期を把握することで、適切な対処がしやすくなります。
痛みや腫れのピークに見られる典型的な症状
痛みのピーク時には、ズキズキとした拍動性の痛みや、顎の重だるさ、腫れが顕著に現れることがあります。
特に炎症が強い場合には、口が開きにくくなったり、発熱や倦怠感を伴ったりすることもあります。
また、頬の外側から見ても腫れが確認できる場合は、ピークを迎えているサインといえるでしょう。
このような症状が見られる場合には、安静と適切なケアが重要です。
上下の親知らずで痛みのピークに違いはあるのか

上下の親知らずでは、抜歯後の痛みや腫れのピークに差が出ることがあります。
一般的に下の親知らずの方が骨が硬く、抜歯が難しいため、痛みや腫れが強く長引く傾向にあります。
一方、上の親知らずは比較的抜きやすく、術後の痛みが軽く済むケースも少なくありません。
痛みの強さやピーク期間の違いを把握することで、術後の不安を軽減できます。
上の親知らずを抜歯した場合のピーク
上の親知らずは骨が柔らかく抜歯しやすいため、痛みのピークは術後1〜2日目に軽度な腫れとともに現れます。
腫れはあまり目立たず、痛みも市販薬や処方薬で軽減できる場合が多いです。
ただし、位置によっては副鼻腔に近いリスクもあるため、術後に違和感が続く場合は歯科医師に相談が必要です。
下の親知らずを抜歯した場合のピーク
下の親知らずは骨が硬く、神経や血管に近い位置にあるため、抜歯に時間がかかることがあります。
そのため、術後2〜3日目に痛みと腫れのピークを迎えるケースが多く、特に切開・縫合があった場合はさらに長引く傾向にあります。
日常生活に支障が出ることもあるため、術後数日は予定を空け、安静に過ごしましょう。
痛みのピークにどう対処すべき?適切な対処法を紹介

親知らずの痛みがピークを迎えた際には、適切な対処を行うことで症状を和らげられます。
主な対処法としては、薬の服用や患部の冷却、食事や睡眠の工夫などが挙げられます。
特に抜歯後の痛みは、適切なケアによって回復スピードが大きく変わるため、自己流ではなく医師の指導に沿った対応が重要です。
以下では、具体的な方法を項目別にご紹介します。
市販薬・処方薬で痛みを抑える方法
親知らずの痛みには、市販の鎮痛薬や、歯科医院で処方される鎮痛剤・抗生物質が有効です。
処方薬は炎症を抑える効果があり、ピーク時の強い痛みにもしっかりと作用します。
薬の服用は医師の指示通りに行い、自己判断による量の調整や併用は避けましょう。
胃が荒れやすい人は、空腹時を避けて服用するようにしてください。
痛み止めが効かないときの対処法
痛み止めを飲んでも効果が薄いと感じる場合、服用間隔や服用量を自己判断で変更するのはNGです。
まずは薬が効き始めるまでにかかる時間(30分〜1時間程度)を考慮し、安静にして様子を見ましょう。
それでも耐えがたい痛みが続く場合は、早めに歯科医院へ連絡し、薬の変更や処置の確認を受けてください。
冷やす・温める、どっちがいい?応急処置のポイント
術後すぐの痛みや腫れには冷やすことが有効です。
氷嚢や冷たいタオルを使って、頬の外側から10〜15分程度を目安に冷却してください。
ただし、冷やしすぎは血流を悪化させるため注意が必要です。
温めるのは腫れが引いてからが基本で、ピーク時に温めると炎症が悪化する可能性があります。
判断に迷う場合は、基本的には冷やすことで対処しましょう。
食事や睡眠で気をつけるべきこと
痛みのピーク時は、刺激の少ない柔らかい食事を選ぶことが大切です。スープ、ゼリー、おかゆなどが適しています。
食事は抜歯した側を避けて咀嚼し、傷口に負担をかけないようにしてください。また、睡眠時は頭を少し高くして寝ることで、腫れや痛みを軽減できます。
アルコールや香辛料など、炎症を悪化させる要素は控えましょう。
痛みのピークを和らげるために避けたいNG行動

痛みのピーク時に誤った行動をとると、症状が悪化したり、治癒が遅れる原因となります。
抜歯後の傷口は非常にデリケートな状態にあるため、注意すべきポイントを事前に知っておくことが大切です。
ここでは、痛みや腫れを長引かせないために避けたいNG行動について解説します。
喫煙や飲酒
親知らずの抜歯後に喫煙や飲酒をすると、傷の治りが遅れるだけでなく、痛みが長引く原因にもなります。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させるため、血流が悪化しやすいです。
その結果、傷口を塞ぐために必要な血餅(けっぺい)がうまく形成されず、ドライソケットという激しい痛みを伴う症状を引き起こすリスクがあります。
また、アルコールは鎮痛薬や抗生物質と相性が悪く、薬の効果を妨げたり副作用を引き起こす可能性があります。
術後3〜5日は禁煙・禁酒を守りましょう。
過度なうがい・舌での刺激
抜歯後の傷口には、血が固まってできる血餅(けっぺい)が覆うことで自然治癒が進みます。
この血餅が流れてしまうと、骨がむき出しになるドライソケットという強い痛みを伴う状態になることがあります。
そのため、術後24時間以内は強いうがいを避け、唾液を吐き出す際も静かに行うようにしましょう。
また、食事中や就寝前などに、無意識に舌で傷口を触ってしまうこともありますが、これも血餅を剥がす原因になります。
気になる気持ちはあっても、自然な治癒を妨げないよう、極力刺激を与えないよう意識しましょう。
運動や入浴
親知らずを抜歯した後の数日は、運動や長時間の入浴を避けることが大切です。
これらの行為は体温や血流を一時的に上昇させ、炎症を悪化させる原因になるため、痛みのピーク時には特に注意が必要です。
激しい運動によって心拍数が上がると、術後の傷口から出血しやすくなったり、腫れが悪化する恐れもあります。
また、熱いお風呂やサウナは血行を促進し、痛みを強く感じさせることもあります。
術後3日間程度は安静を最優先とし、入浴はシャワー程度に留めるのが安全です。
痛みが長引くときの注意点と受診の目安

通常、親知らずの抜歯後の痛みは術後3〜5日目をピークとして1週間以内に落ち着くことが多いです。
しかし、それを超えて強い痛みが続く場合には、通常とは異なる原因が隠れている可能性もあります。
「まだ痛むけど我慢すればいい」と判断を誤ると、状態が悪化し治癒が遅れることもあるため注意が必要です。
以下では、痛みが長引く場合に考えられる異常や、受診すべきサインについて解説します。
痛みや腫れが引かないときに考えられる異常
抜歯後の腫れや痛みは、通常であれば術後3〜5日でピークを過ぎ、1週間ほどで症状が軽くなります。
それにもかかわらず、10日以上たっても痛みが引かない場合や、日に日に悪化しているように感じる場合は、感染や炎症の可能性があります。
特に「頬の腫れが引かない」「口が開かない」「膿が出る」などの症状が見られる場合は、早急に歯科医院を受診しましょう。
ドライソケットや感染症の可能性
抜歯後に強い痛みが数日後に再発し、鎮痛剤も効かない場合、ドライソケットが疑われます。
傷口を守る血餅が失われ、骨が露出してしまう状態で、激痛が1〜2週間続くこともあります。
また、細菌感染によって膿がたまったり、発熱や倦怠感が出たりするケースもあり、こちらも放置すると悪化のリスクがあるため注意しましょう。
歯科医院を受診すべきサイン
以下のような症状がある場合は、自己判断せずに歯科医院を受診してください。
- 痛みが4日以上まったく引かない
- 腫れがどんどん大きくなっている
- 口が開きにくく、食事ができない
- 悪臭や膿が出ている
- 発熱・リンパの腫れがある
これらは感染やドライソケットの初期症状である可能性があります。
無理に我慢せず、迷ったら早めに専門医に相談しましょう。
まとめ
親知らずの痛みにはピークがあり、その時期や症状には個人差がありますが、自然発症の場合は1〜2日、抜歯後は術後2〜3日目がピークになることが一般的です。
痛みのピークを過ぎれば徐々に症状は改善していく傾向にありますが、適切な対処と生活習慣の見直しが重要です。
冷却、薬の服用、安静、NG行動の回避といった対策を実践することで、ピークを乗り越えやすくなります。
もし痛みや腫れが長引く場合は、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
平山歯科医院では、週に2日程度20時までの診療を行っています。
親知らずの痛みが我慢できない場合でも、20時までの診療で受診しやすくなっているため、我慢せずにご来院ください。