でかい親知らずは大きい病院でないと抜歯できない?平均サイズや抜歯が難しいケースを解説

歯科医院で親知らずのチェックを受ける女性

「親知らずが大きい気がするけれど、抜くのは大変なのかな?」

親知らずの抜歯を検討している方の中には、このような不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

親知らずの大きさや形、生え方には個人差があり、場合によっては設備の整った大きな病院での処置が必要になることもあります。

この記事では親知らずの平均的なサイズや、抜歯が難しい親知らずの特徴、さらに抜歯後の注意点について詳しくご紹介します。

親知らずが大きいといわれるサイズは?

患者さんに親知らずについて説明している医師と歯科衛生士

日本人の平均的な親知らずの大きさは、上顎では約15.5mm、下顎では約16.9mmとされています。

親知らずの大きさは年齢によっても変わり、19歳以下では9mm程度に満たないことの多い親知らずの歯根(歯の根っこ部分)は、25歳を超える頃には平均10mmくらいまで成長します。

年齢や上顎か下顎かによっても変わるためあくまで目安ですが、上記の平均値を超える場合は「大きい親知らず」といえるかもしれません。

大きい親知らずは抜歯が難しい?

「親知らずが大きい=痛みがある、難しい」と思われがちですが、実際にはそうとは限りません。

たとえ親知らずが平均的なサイズでも、歯根が複雑に分かれていたり、骨の深部に埋まっていたりすると、抜歯の難易度が高くなる場合があります。

また、親知らずの抜歯は年齢を重ねるほど難しくなる傾向にあります。

若いうちの方が骨と親知らずの結びつきが弱く抜きやすいため、親知らずが生えてきたら一度歯科医院で相談するのがおすすめです。

そもそも親知らずとは

レントゲンと模型で患者さんに親知らずについて説明している様子

親知らずとは、永久歯の中で最も奥に生えてくる歯のことで、正式名称は「第三大臼歯(だいきゅうし)」で、智歯とも呼ばれています。

「親知らず」という名称の由来は、親が歯の生え変わりを見届ける年齢を過ぎた頃に生えてくることから、「親が知らないうちに生える歯」として名付けられたとされています。

親知らずの生え方や形、大きさには個人差があり、人によって大きく異なります。

ここでは、親知らずを以下の2つの項目に分けて詳しく解説していきます。

  • 親知らずが生えてくる平均年齢
  • 親知らずが生えてくる影響

それぞれの項目について、具体的に見ていきましょう。

親知らずが生えてくる平均年齢

親知らずが生えてくる平均年齢は、10代後半から20代前半とされています。ただし、親知らずはすべての人に必ず生えるわけではありません。

4本すべてがしっかり生える方もいれば、もともと親知らずが存在しない「先天性欠如」の方もいます。

実際に、日本人の約10〜20%は先天的に親知らずが1本も生えてこないとされており、個人差が大きいのが特徴です。

また、親知らずが存在していても、あごが小さい場合は歯が生えるためのスペースが足りず、生え途中で止まったり、斜めに生えてきたりするケースも少なくありません。

(※参考:愛知学院大学歯学部「日本人第3大臼歯欠如頻度の時代変化」(2004)

親知らずが生えてくる影響

「親知らず=抜いたほうが良い」というイメージを持っている方も多いかもしれません。

しかし、親知らずがまっすぐ生えており、周囲に十分なスペースが確保されている場合には、必ずしも抜歯の必要はありません。

また、親知らずが埋まっている場合でも、ほかの歯に影響を及ぼしていなければ、経過観察で済むこともあります。

ただし、親知らずが斜めに生えていたり、歯肉の中で隣の歯を押していたりする場合、以下のような悪影響が生じるリスクがあります。

  • プラークや磨き残しが溜まりやすくなる
  • 口腔ケアが行き届かず虫歯や歯周病の原因となる
  • 歯並びが乱れる可能性がある
  • 隣の歯の根を圧迫して歯根を吸収させる
  • 親知らずの周り歯根嚢胞ができる可能性がある

そもそも日本人の場合、親知らずがまっすぐに正常に生えてくる割合は約20〜30%とされており、多くは何らかの問題を抱えるケースがほとんどです。

親知らずは必ずしも抜く必要があるわけではないものの、他の歯や歯肉に悪影響を及ぼす可能性がある場合は、早めの抜歯が推奨されます。

親知らずは抜くべき?

親知らずの模型

先述のとおり、親知らずが斜めに生えていたり、歯肉の中で隣の歯を押していたりする場合は、抜歯が必要です。

放置していると、プラークの蓄積や磨き残しによって、虫歯や歯周病を引き起こすリスクが高まるためです。

反対に、以下に当てはまる場合は親知らずを無理に抜く必要はありません。

  • 親知らずがまっすぐに生えていて正常に噛み合っている
  • 親知らずがまっすぐに生えていて他の歯を圧迫していない
  • 親知らずが埋まっていて周囲の歯への影響がない

もしも親知らずの周囲に痛みや違和感を感じた場合は、自己判断せず、早めに歯科医院で検査を受けることをおすすめします。

でかい親知らずは大きい病院でないと抜歯できない?

親知らずの抜歯をイメージした歯科治療の画像

親知らずのサイズにかかわらず、大きい病院で抜歯するのは、あくまで治療の難易度が高い特殊なケースに当てはまる場合です。

具体的には、以下のケースが挙げられます。

  • 親知らずの根の先が上顎洞に非常に近い
  • 親知らずの抜歯で歯肉の切開や剥離や、骨の開削が必要
  • 親知らずが神経に近い

反対に、親知らずの生え方がシンプルであったり、設備が充実していたりするところであれば、大きい病院でなくとも抜歯が可能です。

いずれにしても、まずは歯科用CTなどの設備が整った歯科医院に相談し、親知らずの状態を的確に把握することが重要です。

抜歯の難易度が高い親知らずについては、次の項目で詳しく解説します。

抜歯が難しい親知らずの特徴

抜歯が難しい親知らずについて説明する医師

抜歯が難しい親知らずの特徴は、以下の6つです。

  • 親知らずが斜めや横向きに生えている
  • 親知らずが歯肉や骨の中に埋まっている
  • 歯根が複数に分かれて骨を抱えている
  • 親知らずの虫歯が進んでいる
  • 親知らずと血管・神経の位置が近い
  • 智歯周囲炎になっている

難易度の高い親知らずは、専門の知識と技術が求められます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

親知らずが斜めや横向きに生えている

親知らずがまっすぐに生えず、斜めや横向きに生えてくるケースは非常に多く見られます。このような生え方を「水平埋伏智歯」といいます。

種類口腔内への影響
水平埋伏智歯汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病になりやすい

水平埋伏智歯は、汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病の原因となるほか、手前の歯を押して歯並びに悪影響を与えることもあります。

また、炎症を引き起こしやすいため、早めに抜歯することが推奨されます。

抜歯方法としては、歯肉を切開し、歯を分割して取り出していくのが一般的です。

親知らずが歯肉や骨の中に埋まっている

親知らずが歯肉やあごの骨の中に完全に埋まっている状態を「完全埋伏智歯」といいます。

種類口腔内への影響
完全埋伏智歯骨の中に完全に埋まっており、親知らずの手前の歯に悪影響が及ぶ可能性がある

この場合、親知らずが完全に骨の中に埋まっているため、症状がすぐに現れることはありません。しかし、長期的には骨が溶けたり腫瘍ができたりするケースがあります。

その際は歯肉を切開し、骨を削り歯を分割して、取り出す必要があります。抜歯は外科的処置となり、高度な技術と設備が必要です。

特に下顎の親知らずは神経に近い位置にあることが多く、神経を傷つけるリスクを避けるためにも、CT検査を用いた事前の精密な診断が重要です。

歯根が複数に分かれて骨を抱えている

親知らずの歯根が複数に分かれていたり、曲がっていたりする場合、抜歯の難易度が大きく上がります。

特に歯根が扇状や鉤状に分かれており、骨にしっかりと食い込んでいる状態では、歯をそのまま抜くことが難しくなり、歯を何分割にもして一部ずつ取り出す必要があります。

さらに、歯根が骨の中で神経や血管に近接している場合、神経損傷のリスクも考慮しなければなりません。

このようなケースでは、一般的な歯科医院での対応が難しく、口腔外科の専門医による処置が推奨されます。

親知らずの虫歯が進んでいる

親知らずは奥に位置しているため、手前の第二大臼歯との間に食べかすが溜まりやすく、歯ブラシも届きにくいことから、虫歯になりやすい歯です。

一般的に、親知らずに虫歯ができた場合は抜歯するのが基本です。さらに虫歯は周囲に炎症を引き起こすリスクも高まるため、早期の抜歯が推奨されます。

しかし、初期の虫歯は痛みがないため、気づかないケースは珍しくありません。その結果、気付かないうちに虫歯が進行し、気づいた時にはかなり深刻になっていることがあります。

虫歯が深く進行している親知らずは歯質が脆くなっているため、骨を削って抜歯する必要があります。

親知らずと血管・神経の位置が近い

親知らずと血管・神経の位置が近い場合も、抜歯の難易度が上がります。特に下の親知らずは、下歯槽神経や動静脈と非常に近い位置にあるケースがあります。

親知らずと下顎神経が近い場合、抜歯時に神経や血管を傷つけるリスクがあり、手術で損傷すると以下のリスクが生じることがあります。

  • 知覚麻痺⋯下唇やあごのしびれが生じることがある
  • 出血⋯血管の損傷で血が止まりにくくなる

これらのリスクを回避するためには、事前にCTスキャンで精密な診断を行い、親知らずと神経の位置関係を詳細に確認することが非常に重要です。

智歯周囲炎になっている

智歯周囲炎とは、親知らず周辺の歯肉に炎症が起きている状態です。炎症が起きていると、麻酔が効きにくく抜歯時の痛みを感じやすくなります。

そのため、まずは抗生物質や消炎処置で炎症を落ち着かせてから親知らずの抜歯を行うのが一般的です。

智歯周囲炎の症状が進行すれば発熱や膿が出ることもあり、日常生活に支障をきたすこともあるため、早めに対処する必要があります。

名称症状
智歯周囲炎・腫れ ・痛み ・口が開けにくくなるといった症状を引き起こす

まとめ

親知らずは人によって大きさや生え方に大きな個人差がありますが、歯根が長く複雑に分かれていたり、骨や神経に近接していたりする場合は、抜歯の難易度が高くなります。

もし親知らずに違和感や痛みがある場合は、早めに歯科医院でCT検査を受け、状態を確認しましょう。

親知らずの違和感を放置すると、虫歯や歯周病、歯並びの乱れなどのリスクが高まるため、専門医に早めに相談することをおすすめします。

平山歯科医院では、夜20時まで診察を行っており、忙しい方や急な痛みが出た場合にも、安心してご相談いただけます。

個室完備と徹底された衛生管理で治療を行いますので、親知らずの抜歯を検討している方はぜひご相談ください。

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