顎関節症は顔の歪みの原因になることも!影響や治療方法について解説

顎関節症は口を開け閉めする際に痛みや違和感、異音が生じたりする病気ですが、顔の歪みの原因になることもあります。
顔の歪みが起こると見た目に問題が生じるだけでなく、歯や歯肉に悪影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。
この記事では、顎関節症と顔の歪みの関係性について解説します。
顔の歪みにより引き起こされる問題や顎関節症の治療方法などについてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
顔の歪みを引き起こす主な原因

顔の歪みを引き起こす主な原因は以下の5つです。
- 下顎のズレや噛み合わせ
- 親知らず
- 歯の欠損
- 虫歯
- 日常生活の癖
ここでは上記5つの原因についてそれぞれ解説します。
下顎のズレや噛み合わせ
顔の歪みを引き起こす原因の一つとして、下顎のズレや噛み合わせの問題が挙げられます。
上顎は頭蓋骨に固定されていますが、下顎は頭蓋骨からぶら下がっているだけで本来は不安定な状態です。
食べ物を噛んだり話をしたりするときは下顎を上下・左右・前後に細かく動かしており、上顎との噛み合わせが正しくないと徐々にズレが生じてきます。
噛み合わせが正しくない状態が続くと顎関節や頬の筋肉に痛みが生じたり、顎を動かすときに異音が生じたりするようになるのです。
噛み合わせが悪化する原因としては、顎の成長の不均衡や顎の骨の形状、歯が生えるスペースが狭いことによる歯並びの乱れ、遺伝的要因などが挙げられます。
親知らず
親知らずが生えてくることにより噛み合わせが悪くなり、顔の歪みが引き起こされることがあります。
親知らずは真っすぐ正常な状態で生えてくることが少なく、斜めもしくは横向きに生えてくることが多いです。
親知らずが手前の歯を圧迫しながら生えてくることで歯並びが変化し、噛み合わせが悪くなります。
このように斜めや横向きに生えてきた親知らずは、抜歯や適切な治療を行うことで噛み合わせの改善が期待できます。
親知らずを抜歯するメリットについては以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ合わせて参考にしてみてください。
→親知らずを抜くと小顔になる?効果が期待できる人の3つの特徴を紹介
歯の欠損
歯の欠損も顔の歪みを引き起こす原因になります。
歯が抜けた状態を放置していると、噛み合っていた歯が伸びてくる歯の挺出(ていしゅつ)という現象が起こります。
さらに抜けた歯の両隣の歯が空いたスペースに向かって傾いてきて、これも噛み合わせの悪化につながるため注意が必要です。
歯の挺出や傾斜により噛み合わせのバランスが崩れてくると、本来の位置よりも深く噛みこむようになり、顎の骨が左右どちらかに傾いてきます。
この傾きが顔の歪みを引き起こす原因になるのです。
虫歯
虫歯も、噛み合わせを悪くし顔の歪みを引き起こす原因になります。
噛み合わせが悪くなる原因としては、虫歯の症状によるものと虫歯治療によるものが挙げられます。
虫歯になると虫歯菌の出す酸により歯が溶かされ、歯の形状が変わることで噛み合わせが変化することがあるのです。
また、虫歯治療では歯を削った後に被せ物をすることがありますが、この被せ物の高さがあっていないと噛み合わせが悪くなる原因になります。
治療せず虫歯が悪化すると歯が崩壊して抜歯が必要になることもあり、抜歯した状態を放置していると噛み合わせの悪化により顔が歪んできます。
日常生活の癖
以下のような日常生活の癖によって顔の歪みが引き起こされることがあります。
- ほおづえ
- うつ伏せ寝
- 舌を押し出す癖
- 爪を噛む癖
上記のような悪い癖が長期間続くことで顎関節に負担がかかり、顔の歪みを引き起こすことがあるのです。
顎関節症により起こる顔の歪み

顎関節症により起こる顔の歪みは以下の3つが挙げられます。
- 下顎後退
- 顔面非対称
- 咬筋肥大
ここでは上記3つについてそれぞれ解説します。
下顎後退
下顎後退は、両側の下顎頭(下顎骨の先端部分)の吸収が起き下顎が後ろに下がってしまう現象です。
下顎が後ろに下がると顎が不自然に小さくなることにより顔の輪郭が歪みます。
さらに口を開けづらくなったり開口筋に痛みや違和感が生じたりすることもあります。
顔面非対称
顎関節症が進行すると下顎頭に癒着やすり減りが起こり、骨が変形することがあります。
顎の骨が変形すると顎のラインが左右でずれが生じ、顔が歪んでしまうのです。
また骨が変形するだけでなく、咀嚼筋の発達が左右で異なるのも顔面非対称の原因になります。
咬筋肥大
咬筋肥大は、食べ物を噛むときに使われる咬筋という筋肉が肥大することで起こる現象です。
咬筋肥大が起こる原因としては、以下が挙げられます。
- 偏咀嚼(片側の歯でばかり咀嚼する)
- 歯ぎしりや食いしばり
- ストレス
咬筋肥大は顔の歪みを引き起こすだけでなく、顎の痛みや血行不良、むくみなどの原因にもなります。
顎関節症により顔が歪むと起こる問題

顎関節症により顔が歪むと以下のような問題が起こる恐れがあります。
- 口呼吸になる
- 偏咀嚼による歯や歯肉への影響
- 頬粘膜圧痕になる
- 舌を噛んでしまうことがある
ここでは上記4つの問題についてそれぞれ解説します。
口呼吸になる
顎関節症により顔が歪むと、鼻の気道が狭くなることで鼻呼吸がしづらくなり、自然と口呼吸をするようになってしまいます。
口呼吸は以下のようにさまざまなデメリットがあります。
- 虫歯や歯周病のリスクが高まる
- 口臭が悪化する
- 骨が下に成長し面長な顔になる
- 歯並びが悪くなる
- ウイルスに感染しやすくなる
- 睡眠時無呼吸症候群になる
気道が狭くなることで睡眠時無呼吸症候群が引き起こされると、正しい睡眠がとれなくなり、成長障害やいびきなどにつながることもあります。
顔の歪みだけでなく全身の健康状態にも悪影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。
偏咀嚼による歯や歯肉への影響
偏咀嚼(片側の歯ばかり使って噛む習慣)を続けると歯や歯肉に悪影響を及ぼします。
偏咀嚼は片側の顎の骨に偏って強い力が加わるため、歯や歯肉がもろくなる恐れがあるのです。
そのほかにも偏咀嚼が及ぼす悪影響の例として、以下が挙げられます。
- 顔が歪む
- 頭痛
- 疲れ目
- めまい
- 耳鳴り
- 腰痛
- 手足のしびれなど
偏咀嚼による顔の歪みは首、肩、腰など全身の歪みの原因にもなります。
頬粘膜圧痕になる
頬粘膜圧痕(ほおねんまくあつこん)とは、頬の内側に歯が当たることで白い痕が付くことです。
顔の歪みや噛み合わせの悪さなどにより引き起こされるもので、頬粘膜圧痕が生じる状態を放置していると出血や強い痛みが起こることもあります。
また頬粘膜圧痕を引き起こす大きな原因の一つとして、歯ぎしりや食いしばりが挙げられます。
歯ぎしりや食いしばりはストレスが原因となっていることもあるため、普段からストレスを溜め込んでしまっている方は特に注意が必要です。
舌を噛んでしまうことがある
噛み合わせが悪くなると舌を噛んでしまうことがあります。
繰り返し舌を噛んでいると痛みが生じ、食事や会話に支障がでるようになります。
ひどい場合は舌を噛んだ際に出血や炎症が起こることもあるため注意が必要です。
顎関節症による顔の歪みを改善する方法

顎関節症によって顔の歪みが引き起こされている場合は、以下のような方法で治療が必要です。
- 物理療法
- 運動療法
- スプリント療法
- カウンセリング療法
- 矯正治療
- 外科手術
- 生活習慣の改善
ここでは上記7つの治療方法についてそれぞれ解説します。
物理療法
物理療法は顎の筋肉に電気を流したりマッサージをしたりすることで、顎周辺の筋肉の緊張をほぐす治療方法です。
筋肉をほぐすと血流が改善されるため、顎の痛みが緩和され、リラックス効果が期待できます。
運動療法
運動療法は、顎の筋肉のストレッチや口を動かす訓練を行う治療方法です。
これらのストレッチや訓練によって顎周辺の筋肉が鍛えられ、顎関節の位置を正常な位置に戻す効果が期待できます。
スプリント療法
スプリント療法はマウスピースを装着する治療方法です。
主に歯ぎしりや食いしばりの癖がある方に適しており、マウスピースを装着することで顎関節や咀嚼筋、歯にかかる負担を軽減できます。
カウンセリング療法
カウンセリング療法は、ストレスや睡眠不足が原因で顎関節症が引き起こされている場合に有効です。
歯科医院ではなく精神科や心療内科で行われる治療で、カウンセリングを通じてストレスを軽減します。
矯正治療
矯正治療は、不正咬合が原因で顎関節症が引き起こされている場合に有効な治療方法です。
矯正治療にはワイヤー矯正やマウスピース矯正など様々な矯正方法があるため、自分に適した方法を選択しましょう。
矯正治療により歯並びや噛み合わせが良くなると、顔の歪みや顎関節症が改善されます。
外科手術
外科手術は、下顎頭のすり減りや吸収が起こっている場合や骨の変形が大きい場合に行われる治療方法です。
皮膚を切開して行う手術や内視鏡を使う手術など、症状に応じて様々な手術方法があり、全身麻酔を必要とする大がかりな手術になるケースが多いです。
生活習慣の改善
普段の生活習慣が原因で顎関節症が引き起こされている場合、生活習慣の改善が必要です。
顎関節や咀嚼筋に悪影響を及ぼす生活習慣としては、以下が挙げられます。
- 歯ぎしりや食いしばり
- ほおづえ
- うつ伏せ寝
- 偏咀嚼
- TCH(歯列接触癖)
上記の中でも顎関節症の患者さんに特に多いのが、TCH(歯列接触癖)です。
口を閉じているときでも上下の歯は接触していない状態が正常ですが、無意識に長時間歯を噛んでしまう癖を持っている方がいます。
長時間上下の歯が接触していると顎関節や咀嚼筋に負荷がかかり続けるため、顎関節症の発症の原因になることがあるのです。
普段の生活習慣を見直して、顎関節や咀嚼筋に負荷がかかる悪い癖は改善していく必要があります。
まとめ
顎関節症になると下顎後退や顔面非対称、咬筋肥大など顔の歪みが引き起こされることがあります。
顔が歪むと見た目が悪くなるだけでなく、口呼吸や頬粘膜圧痕、歯や歯肉への影響など、様々な悪影響が生じます。
虫歯や歯の欠損、親知らず、下顎のズレ、日常生活の癖などは顎関節症や顔の歪みの原因となるため、一つでも当てはまるものがある方は注意が必要です。
平山歯科医院では患者さんの要望をしっかりお聞きした上で、患者さんが本当に求めている治療を行うことを大切にしています。
症状やお悩みに合った治療をご提案させていただきますので、顔の歪みや顎関節症でお悩みの方は、ぜひ一度当院までご相談ください。