歯周病が引き起こす全身疾患とは?予防法や健康への影響、治療法を徹底解説

医師と医療のイメージ

歯周病は口腔内だけの問題ではありません。

実は、歯周病が進行すると、全身の健康にさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。

この記事では、歯周病がどのように全身疾患を引き起こすのか、そのメカニズムについて解説し、予防法や治療法を紹介します。

あなたの健康を守るためにも、どんな予防方法があるのかを理解し、実践していきましょう。

歯周病が全身に与える影響とそのメカニズム

歯周病が全身に与える影響とそのメカニズムについて説明する医師

まずは、歯周病が全身に与える影響とそのメカニズムについて、以下の3点を解説します。

  • 歯周病の進行と全身への波及
  • 歯周病菌と内毒素の全身への影響
  • 炎症と免疫系への影響

歯周病が引き起こす全身疾患は、知らずに放置していると重大な健康リスクとなるため、早期の予防と適切な治療が非常に重要です。

詳しく見ていきましょう。

歯周病の進行と全身への波及

歯周病の進行により口腔内で増殖した歯周病菌は、血管を通じて全身に波及します。

歯肉が退縮して深くなった歯周ポケットから、歯周病菌やその産生する有害物質が血液中に入り込むのです。

これにより、心臓や血管、さらには呼吸器系にも悪影響が及ぶため、放置しておくと重大な全身疾患を引き起こす可能性があるでしょう。

そのため、歯周病が進行する前に適切な予防措置を講じることが重要です。

歯周病菌と内毒素の全身への影響

歯周病が進行すると、歯周ポケット内で繁殖した歯周病菌が内毒素を分泌し始めます。

これらの内毒素は血流に乗って全身に広がり、その結果、心臓や脳などの臓器に慢性的な炎症を引き起こします。

これらの炎症は心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める要因となり、さらに内毒素は血糖値の調整を乱し、糖尿病を悪化させる可能性があります。

糖尿病患者にとって歯周病は大敵であるため、早期の治療が不可欠です。

炎症と免疫系への影響

歯周病が進行すると歯茎に炎症が発生し、その炎症に対して体の免疫系が過剰に反応します。

この過剰反応により血流を通じて全身に広がった免疫細胞は、さまざまな部位に悪影響を与えかねません。

たとえば、免疫細胞が血管内皮に作用すると動脈硬化が進行し、心血管疾患のリスクが高まります

また、慢性的な炎症は腎臓や関節にも悪影響を与え、腎炎や関節炎のリスクを高める要因にもなるのです。

免疫の本来の役割は感染症や異物から体を守ることですが、過剰な分泌は逆効果になる場合があることを忘れないようにしましょう。

歯周病が引き起こす全身疾患とリスク7つ

血管のイメージ画像

次に、歯周病が引き起こす全身疾患とリスクについて、以下の7つを紹介します。

  • 歯周病とメタボリックシンドロームの関係
  • 歯周病と心血管疾患の関係
  • 歯周病と糖尿病の関係
  • 歯周病と肺炎(誤嚥性肺炎)の関係
  • 歯周病と骨粗鬆症の関係
  • 歯周病と関節炎・腎炎の関係
  • 歯周病と妊娠におけるリスク

歯周病が全身疾患にどのような影響を与えるのかを理解し、予防策を講じていきましょう。

歯周病とメタボリックシンドロームの関係

歯周病とメタボリックシンドロームは密接な関係にあります。

歯周病による慢性的な炎症が体内で発生すると免疫反応が過剰になり、内臓脂肪が蓄積されやすくなります。

内臓脂肪は、血糖値の上昇や高血圧、脂質異常症を引き起こし、メタボリックシンドロームを引き起こす原因となるのです。

そのため、歯周病の予防はメタボリックシンドロームへの罹患を阻止し、心血管疾患や脳卒中などのリスクを低下させることにもつながります。

早期の予防と治療を心がけ、生活習慣病のリスクの軽減を目指しましょう。

歯周病と心血管疾患の関係

歯周病菌が歯茎から侵入し血流に入り込むことで、全身の炎症反応を引き起こし、心血管疾患のリスクを高めます。

特に炎症反応の影響で、血管内で血栓が形成されるケースがあり、これが心臓に負担をかけて心筋梗塞を引き起こす原因となるため、注意が必要です。

歯周病があると心血管系に影響を与え、循環器疾患のリスクが高まるため、心臓の健康維持のためにも早期に歯周病の予防や治療を行いましょう。

歯周病と糖尿病の関係

歯周病と糖尿病は相互に影響し合う関係にあります。

歯周病による炎症がインスリンの働きを弱め、糖尿病の症状を悪化させる要因になるのです。

逆に、糖尿病患者は免疫力が低下しているため、歯周病にかかりやすくなります。

歯周病が悪化すると、血糖値の管理がさらに難しくなり、糖尿病の治療が複雑化する可能性が高いでしょう。

このように、歯周病と糖尿病は相互に悪影響を与えるため、両者の予防と治療を同時に行うことが健康管理において非常に重要です。

歯周病と肺炎(誤嚥性肺炎)の関係

歯周病と肺炎、特に誤嚥性肺炎は密接に関係しています。

歯周病菌が口腔内で繁殖すると、唾液とともに誤って飲み込むことによって肺に到達するケースがあります。

この細菌が肺に入り込むと、誤嚥性肺炎を引き起こす原因になるのです。

特に高齢者や免疫力が低下している人においては、誤嚥性肺炎が重症化しやすいため、歯周病が進行する前に適切な予防と治療を行うことが大切です。

歯周病の管理と口腔ケアをしっかりと行えば、肺炎のリスクを減少させられるでしょう。

歯周病と骨粗鬆症の関係

歯周病と骨粗鬆症には深い関連性があります。

歯周病によって引き起こされる炎症が全身の骨に影響を与え、骨密度の低下を招く可能性があるのです。

骨粗鬆症は歯周病と共通のリスク因子を持っているため、歯周病によって顎の骨が侵されると骨粗鬆症が進行するリスクも高まります。

歯周病の予防と治療を行うことで骨粗鬆症の進行を抑制し、骨の健康を守りましょう。

歯周病と関節炎・腎炎の関係

歯周病は、関節炎や腎炎を引き起こすことも少なくありません。

歯周病によって体内で炎症が発生し免疫系が過剰に反応することで、関節に炎症を引き起こして関節炎を発症するケースがあります。

また、歯周病菌や炎症が血流を通じて腎臓に影響を与えると、腎炎を引き起こすリスクが高まります。

慢性的な炎症は全身の免疫機能に影響を与え、関節や腎臓など他の臓器にも悪影響を及ぼす可能性があるため、歯周病の予防や治療は全身の健康を守るうえで欠かせません。

歯周病と妊娠におけるリスク

歯周病は、妊婦にとって特にリスクが高い病気です。

妊娠中に歯周病が進行すると、早産や低体重児のリスクが高まることがわかっています。

また、歯周病による炎症や細菌の繁殖が、血流を通じて胎児や母体に悪影響を与える可能性があるため十分に注意しましょう。

妊娠中は免疫系の変化により歯周病が悪化しやすくなるため、しっかりと予防する意識をもつことが大切です。

母体と赤ちゃんの健康を守るためにも妊娠中はこまめに歯科検診を受け、適切なケアを行いましょう。

歯周病の予防方法と治療法

歯周病で歯科治療を受ける女性

歯周病は予防可能な疾患ですが、適切なケアを怠るとどんどん進行し、全身に悪影響を与えます。

ここでは、歯周病の予防法と治療法について、以下の5点を紹介します。

  • 歯周病予防のためのセルフケア
  • 定期的な歯科医院での予防ケア
  • 歯周病予防に効果的な食生活と栄養素
  • 歯周病治療方法の選択肢
  • フッ素塗布とシーラント

それぞれ詳しく紹介していくため、ぜひ参考にしてください。

歯周病予防のためのセルフケア

歯周病予防の基本は、毎日のセルフケアです。

もっとも重要なのは正しい歯磨きですが、歯間ブラシやフロスを使って歯と歯の間をきれいにすることも忘れてはなりません。

定期的に歯ブラシを交換し磨き方を見直すだけでなく、デンタルリンスや抗菌作用のあるマウスウォッシュの使用も有効です。

歯周病菌の繁殖を防ぎ口腔内の清潔を保つためにも、歯周病予防のセルフケアを日常的に取り入れていきましょう。

定期的な歯科医院での予防ケア

歯周病予防には、定期的な歯科医院でのケアも欠かせません。

歯科医院では、歯石やプラークの除去、歯周ポケットのチェックなどを行い、目に見えない歯周病の兆候を早期に発見できます。

また、歯科医師によるブラッシング指導やプロフェッショナルケアによって、自分では管理できない細部の汚れまできれいにすることが可能です。

予防歯科の診察は一般的に3ヶ月に1回程度が推奨されており、定期的な受診で歯周病を未然に防止できます。

歯科医院での専門的なケアを受けることは、健康な歯を長く保つためにも非常に有効な手段と言えるでしょう。

歯周病予防に効果的な食生活と栄養素

歯周病予防には、食生活も大きく影響します。

糖分の摂取は歯周病菌を繁殖させる原因となるため、甘い食べ物や飲み物を控え、バランスの取れた食事を心掛けることが重要です。

ビタミンCは歯茎の健康を保つために欠かせない栄養素であるため、柑橘類や野菜を意識的に摂取するとよいでしょう。

また、カルシウムやビタミンDは骨を強化し、歯を支える骨の健康にも寄与できます。

さらに、ベリー類やナッツ類などの抗酸化物質を含む食材を取り入れると、歯周病を予防しやすくなるためおすすめです。

食生活を見直すことで口腔内の健康を守り、歯周病のリスクを軽減しましょう。

フッ素塗布とシーラント

歯周病によって歯茎が下がってしまっている場合、フッ素塗布が効果的です。

定期的にフッ素塗布を行えば歯の再石灰化が促進されるため、歯質の強化につながります。

また、シーラントは歯の溝に塗布することで、隙間に食べかすや細菌が入り込むのを防止できるため、おすすめです。

フッ素塗布とシーラントは簡単に処置できるため、お子さんや歯周病リスクが高い人に特におすすめできる予防法です。

歯周病治療方法の選択肢

歯周病が進行してしまった場合、治療方法は段階的に進められます。

初期の段階では、歯科医院でクリーニングやスケーリングを行い、歯石やプラークを除去します。

これにより、歯周病菌の増殖を抑制し、歯茎の炎症を改善できるでしょう。

中期には、歯周ポケットの深さを減らすための歯周治療が行われ、必要に応じて歯周外科手術が検討されます。

さらに進行してしまった場合は抜歯が必要となることもありますが、インプラントやブリッジなどで機能回復が可能です。

このように、歯科医師と相談しながら歯周病の進行度に応じた治療方法を選びましょう。

まとめ

歯周病の予防には、日々のセルフケアや定期的な歯科医院でのチェック、そして健康的な食生活が欠かせません。

進行すると全身疾患にもつながりかねないため、早期の予防と治療が非常に重要です。

自分の口腔内の健康を守るためにも、日常的に歯周病対策を取り入れましょう。

平山歯科医院では、患者さん一人ひとりに合わせた歯周病治療を行っています。

丁寧なヒアリングと説明に力を入れているため、歯科医院が苦手な方も安心して受診いただけます。ぜひお気軽にご相談ください。

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