入れ歯が痛い原因は?合わないまま使い続けるリスクや対処法について解説

入れ歯が痛む中年女性

入れ歯を装着した際に痛みを感じる原因として、自分の口に合っていない可能性が考えられます。

合わない入れ歯を長期間使い続けると、食事をする際に痛みで咀嚼ができなくなったり、話しづらくなったり、歯茎を傷つけてしまったりといったトラブルを引き起こす恐れがあるため注意が必要です。

上記のようなトラブルを避けるためにも、入れ歯を装着して痛みや違和感を覚えたらすぐに歯科医師に相談する必要があります。

この記事では、入れ歯を装着すると痛みが出る原因と対処法について詳しく解説します。

合わない入れ歯を使い続けるリスクや自分でできる対処法についてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

入れ歯で歯茎が痛くなる原因と対処法

唇をめくって歯を見せる女性

入れ歯で歯茎が痛くなる原因は以下の5つが挙げられます。

  • 入れ歯に慣れていないため
  • 歯茎に合っていないため
  • 噛み合わせがあっていないため
  • 歯に引っ掛けるバネ部分に問題があるため
  • 入れ歯が壊れているため

ここでは上記5つの原因と対処法についてそれぞれ解説します。

入れ歯に慣れていないため

入れ歯を装着し始めのころは異物感を強く感じ、違和感や痛みなどが生じやすい傾向にあります。

口の中は大変デリケートなため、焦らず少しずつ慣れていくことが大切です。

食事はしばらく柔らかいものを選んだり積極的に発音したりすることで、徐々に口の中に入れ歯が馴染み、違和感が減ってきます。

違和感や痛みがあるからといって諦めてしまうと慣れるまでに時間がかかるため、できる範囲で練習を続けていくことが大切です。

また、いつまでも違和感が消えない場合は歯茎に合っていない可能性が考えられるため、歯科医院で調整してもらいましょう。

歯茎に合っていないため

入れ歯と歯茎の形が合っていないと、歯茎が痛くなることがあります。

入れ歯は硬い石膏模型上で製作しますが、柔らかい歯茎の上に乗せるため、実際に口の中に入れてみると適合不良が生じることがあるのです。

どれほど精密に作製した入れ歯でも多少の適合不良は出てしまうものなので、実際に装着した際の調整が非常に重要になります。

歯茎に当たっている部分を削ることで、痛みは軽減されます。

ただし入れ歯が合っていない原因には噛み合わせのバランス不良や入れ歯の吸着・安定不良などの設計不良のトラブルが絡み合っていることが多い点に注意が必要です。

入れ歯が当たっている部分を削っても痛みが取れない場合は、入れ歯の作り直しが必要になります。

噛み合わせが合っていないため

入れ歯をした際の上下の歯の噛み合わせが合っていないと、痛みを感じる原因になります。

噛み合わせを調整する際は上下の歯が前後左右均等に当たって噛む力が分散される必要があります。

しかしこの噛み合わせが少しでもずれると一部の歯に強い力が加わり、歯茎が痛んでしまうことがあるのです。

痛みが原因で入れ歯を装着しない期間が長引くと、歯が移動してしまい、調整しても装着できなくなってしまうことも少なくありません。

こうなると新たに入れ歯を作り直すしか手段がなくなってしまいます。

こうした事態を防ぐためにできることは、入れ歯を装着した際に痛みや違和感が生じたらすぐに歯科医師に相談し、できるだけ早く噛み合わせを調整してもらうことです。

顎の状態をしっかりと検査した上で、顎の動きに合わせた噛み合わせを設計して入れ歯を作るのが理想となります。

歯に引っ掛けるバネ部分に問題があるため

保険適用で作製する一般的な部分入れ歯は、歯を失った部分の隣の歯にバネ(クラスプ)を引っかけて装着します。

このバネが強く締まりすぎていると、歯茎に痛みを感じることがあるのです。

また歯周病が進行し歯を支える骨が減少すると歯がぐらぐらと動いてしまうことがあり、この場合も入れ歯を装着した際に痛む原因になります。

入れ歯のバネ部分に問題がある場合は、歯科医師に相談し、調整してもらいましょう。

歯周病の進行に原因がある場合は、歯周病ケアが必要です。歯周病の症状や治療方法については以下の記事を参考にしてみてください。

歯周病の症状とは?かかりやすい人の特徴や治療方法を詳しく解説

入れ歯が変形・破損しているため

入れ歯が壊れていると歯茎が痛む原因になります。

例えば以下のようなケースです。

  • 入れ歯にひびが入っている
  • バネ部分が折れている
  • 入れ歯が変形している

明らかに壊れている場合はすぐに気づけますが、わずかな破損であれば気づかずに装着してしまうことがあります。

急に痛みが出た場合、入れ歯が変形・破損している可能性が高いです。

入れ歯は修理が可能なため、歯科医院に相談してみましょう。

何度調整しても痛みがなくならない場合の対処法

入れ歯の説明をする歯科医師

入れ歯を装着した際に痛みが出る場合、入れ歯の形を整えてもらうことで改善されるケースが多いですが、何度調整しても痛みがなくならない場合があります。

この場合は自費診療で入れ歯を作ることを検討してみましょう。

自費診療で作る入れ歯には様々な種類の材料があり、綿密に型取りをして調整も時間をかけて行います。

患者さんの口に合った入れ歯を作りやすいため、痛みが改善される可能性が高いです。

合わない入れ歯を使い続けるリスク

机に置かれた歯の模型

合わない入れ歯を使い続けると以下のようなリスクがあります。

  • 歯茎を傷つける
  • 噛み合わせが悪くなる
  • 顎関節に負担がかかる

ここでは上記3つのリスクについてそれぞれ解説します。

歯茎を傷つける

合わない入れ歯を使い続けると、歯茎を傷つけるリスクがあります。

歯茎が傷つくとその傷口から細菌が入り込み、炎症を起こす恐れがあるため注意が必要です。

悪化すると化膿し、膿が溜まる可能性もあるため、入れ歯が合わないと感じたら早めに歯科医師に相談しましょう。

噛み合わせが悪くなる

合わない入れ歯を使い続けると、噛み合わせが悪くなる可能性があります。

噛み合わせが悪くなると咀嚼に影響が出るだけでなく、以下のような影響が出る恐れがあります。

  • 虫歯や歯周病の原因になる
  • 顎関節症を引き起こす
  • 頭痛
  • 腰痛
  • 耳鼻咽喉疾患など

上記のような症状を引き起こさないためにも、入れ歯は自分の口にピッタリフィットするものを使用しましょう。

顎関節に負担がかかる

合わない入れ歯を使い続けると顎関節に負担がかかり、顎関節症をはじめとしたさまざまな疾患を引き起こす恐れがあります。

顎関節症は口を開け閉めする顎関節や顎周辺の筋肉に異常が生じる疾患です。

主な症状として、口を開け閉めするときに痛みが生じる、口を開け閉めする際に異音が生じるなどが挙げられます。

顎関節症は頭痛やめまい、耳鳴り、目の疲れなどの副症状を引き起こすこともあるため注意が必要です。

入れ歯が痛いときに自分でできる対処方法

入れ歯を確認する歯科医師

入れ歯が痛いときに自分でできる対処法は以下の4つです。

  • 食べ物をゆっくり噛む
  • 入れ歯の装着に慣れる
  • 口内炎用の薬を塗る
  • 入れ歯安定剤を使用する

ここでは上記4つの対処法についてそれぞれ解説します。

またここでの対処法はあくまでも、歯科医院を受診するまでの応急処置的な方法となります。

できるだけ早めに歯科医院を受診し、適切な処置を受けるようにしましょう。

食べ物をゆっくり噛む

入れ歯が痛いときはなるべくゆっくりと食べ物を咀嚼するようにしましょう。

ゆっくり噛むことで食事中に感じる痛みを抑えられます。

最初のうちは柔らかい食べ物から食べるようにして、左右両側均等に噛むように意識してみてください。

慣れてきたら徐々に硬い食べ物や大きい食べ物に移していきましょう。

入れ歯の装着に慣れる

入れ歯に慣れていないと違和感や痛みが生じやすいため、まずは口の中に入れ歯がある状態に慣れる必要があります。

入れ歯に慣れる方法としておすすめなのが、発音トレーニングです。

発音しにくい『さしすせそ』や『たちつてと』などを繰り返し発音し、徐々に慣れていきましょう。

積極的に発声すると慣れやすくなります。

口内炎用の薬を塗る

入れ歯が原因で歯茎が傷ついてしまった場合は、口内炎用の薬を塗りましょう。

口内炎用の薬には痛みを抑える鎮痛成分や炎症を抑えるステロイド成分が配合されています。

また、傷が治るまでは刺激物は控え、柔らかい食べ物を選ぶのがポイントです。

粘膜の修復を促すビタミンB類を積極的に摂取するようにしましょう。

入れ歯安定剤を使用する

入れ歯をすぐに調整するのが難しい場合は、入れ歯安定剤を使用しましょう。

入れ歯安定剤にはクリームタイプや粉末タイプ、シートタイプ、クッションタイプの4種類ありますが、クッションタイプの入れ歯安定剤を使用するのがおすすめです。

クッションタイプの入れ歯安定剤の正しい使い方は以下の通りです。

  1. 入れ歯を洗浄した後に水気をしっかり取り除く
  2. 適量を指にとってうすく塗り広げる
  3. 一度入れ歯を入れて左右均等にかみしめる
  4. はみ出た部分を指で取り除く

安定剤が入れ歯や歯茎にこびりついてしまわないよう注意しましょう。

まとめ

入れ歯で歯茎が痛くなる原因として、入れ歯に慣れていないことや歯茎に合っていないことなどが考えられます。

時間の経過によって徐々に慣れてきて違和感や痛みが減ったり、入れ歯の調整を行うことで改善されたりするケースが多いですが、中には何度調整しても痛みがなくならない場合があります。

この場合は自費診療で作れる入れ歯を検討してみましょう。

保険診療で作る入れ歯と比べて、自費診療で作る入れ歯は様々な種類の材料を使用できるため、患者さんの口にフィットする入れ歯を作成しやすいです。

また入れ歯が痛いときは口内炎用の薬を塗ったり入れ歯安定剤を使用したりなどの応急処置を行い、なるべく早めに歯科医院を受診して適切な処置を受けるようにしてください。

平山歯科医院では、保険適用で作れる入れ歯と自費診療で作れる入れ歯のどちらにも対応しています。

一人ひとりの要望や不安を伺ったうえで適切な治療方法を提案しているため、まずは気軽にご相談ください。

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