入れ歯の寿命は何年?合わなくなる原因や長持ちさせるポイントについて解説

「入れ歯は何年持つ?」「入れ歯を長持ちさせるにはどうしたらいい?」などのお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
入れ歯の平均寿命は3〜5年程度とされており、長持ちさせるためには日々のお手入れやメンテナンスが重要です。
例えば毎食後の入れ歯の掃除や入れ歯の乾燥予防、残っている歯のデンタルケアなどをしっかり行うことによって、入れ歯をより長く使用することができます。
この記事では、入れ歯の寿命について詳しく解説します。
また入れ歯が合わなくなる原因や長持ちさせるポイントなどもまとめているため、長く入れ歯を使い続けるためにぜひ参考にしてみてください。
入れ歯の平均寿命は3~5年程度

入れ歯の平均寿命(耐用年数)は3〜5年程度です。
ただし個人差があり、3年ほどで合わなくなってしまう方もいれば、10年以上同じ入れ歯を使用している方もいます。
保険適用で作る入れ歯はレジンというプラスチック製の素材が使用されているのが特徴です。
レジンは吸水性があり、長期間使用し続けることで変形したり着色汚れがついたりするため、3〜5年程度で作り直しが必要になるケースが多いです。
中にはせっかく作成した入れ歯を作り替えるのがもったいないと感じる方もいますが、1つの入れ歯を使い続けるのは衛生面と機能面どちらにもリスクがあります。
自分で気づかない間に噛み合わせが悪くなっていたり、汚れが蓄積したりしている可能性があるためです。
清潔な状態で使い続けるためには、3〜5年を目安に新しい入れ歯を作り直すのがおすすめです。
入れ歯を作り直す際にかかる費用については以下の記事で解説しているため、気になる方はぜひ合わせてチェックしてみてください。
→入れ歯を作り直す際の費用はいくら?作製・調整のルールを解説
入れ歯が合わなくなる3つの原因

入れ歯が合わなくなる原因は主に3つ挙げられます。
- 口腔内環境の変化
- 入れ歯の経年劣化
- 入れ歯の破損
ここでは上記3つの原因についてそれぞれ解説します。
口腔内環境の変化
入れ歯が合わなくなる原因の一つに、口腔内環境の変化が挙げられます。
入れ歯は歯槽骨という歯ぐきの中にある骨を土台に装着しますが、加齢や虫歯・歯周病などさまざまな原因でやせ細ってしまい、入れ歯が合わなくなることがあるのです。
入れ歯がガタつく、落ちるなどの自覚症状が出始めたら、歯ぐきがやせ細っている証拠です。
また保険適用で作る部分入れ歯の場合、隣の歯に金属のバネ(クラスプ)をかけて装着します。
金属のバネをかけている歯が抜け落ちたり抜歯したりした場合、支える歯がなくなってしまうため同じ入れ歯を使い続けることができず、新しく作り直す必要があります。
入れ歯の経年劣化
入れ歯自体の経年劣化によって合わなくなることがあります。
保険適用で作る入れ歯はレジンというプラスチック素材でできており、素材の性質によって変形や着色汚れが起きます。
入れ歯は毎日使うもののため、経年劣化は避けられません。
どれほど丁寧にお手入れをしている場合でも、3〜5年程度を目安に作り直す必要があるでしょう。
また入れ歯には様々な素材があり、自由診療で使用される耐久性の高い素材なら保険適用で作るものよりも長期間使い続けることが可能です。
ただし耐久性の高い素材も永久に劣化しないわけではなく、口腔内環境が変化したり入れ歯自体が劣化したりした場合には作り直しが必要になります。
入れ歯の破損
入れ歯が破損した場合、修理で直せる場合と作り直しが必要になる場合があります。
バラバラになってしまった場合は修理が難しいため、作り直しになる可能性が高いです。
また壊れてしまった入れ歯を接着剤でくっつける方もいますが、安全性や衛生面の観点から推奨されません。
入れ歯が破損した場合は自己判断で処置するのではなく、歯科医院に持ち込んで相談しましょう。
入れ歯を長持ちさせるポイント

入れ歯を長持ちさせるポイントは以下の通りです。
- 日々のお手入れをきちんと行う
- 残っている歯を守るデンタルケアを丁寧に行う
- 定期検診を受ける
ここでは上記3つのポイントについてそれぞれ解説します。
日々のお手入れをきちんと行う
入れ歯を長持ちさせるためには、日々のお手入れをきちんと行うことが大切です。
お手入れを怠ると入れ歯に食べかすやプラーク(歯垢)が付着し、雑菌が繁殖したり臭いが発生したりする原因になります。
口内炎や虫歯・歯周病などのリスクも高まるため、入れ歯は毎日きちんとお手入れしましょう。
入れ歯のお手入れのポイントは以下の5つが挙げられます。
- 毎日入れ歯をきちんと掃除する
- 掃除をするときは水を使用する
- 入れ歯用の歯ブラシと歯磨き粉を使用する
- 水またはぬるま湯につけて乾燥を防ぐ
- 寝る前に入れ歯洗浄剤を使用する
上記5つのポイントについてそれぞれ見てみましょう。
毎日入れ歯をきちんと掃除する
入れ歯は毎日きちんと掃除しましょう。
正しい掃除頻度は毎食後と寝る前ですが、難しければ最低でも1日2回は掃除をするようにしてください。
入れ歯を取り外し、入れ歯専用の歯ブラシと歯磨き粉でしっかり磨きましょう。
掃除をするときは水を使用する
入れ歯を掃除するときは必ず水を使用しましょう。
保険適用で作製する入れ歯は熱に弱いレジンという素材が使用されているため、お湯で掃除すると変形してしまう恐れがあります。
変形すると口にフィットしなくなるため、作り直しが必要になる可能性があります。
入れ歯用の歯ブラシと歯磨き粉を使用する
入れ歯のお手入れには、入れ歯用の歯ブラシと歯磨き粉を使用しましょう。
通常の歯ブラシで磨くと入れ歯を傷つけてしまう恐れがあり、研磨剤が含まれている歯磨き粉と併せて使用するとさらにそのリスクが高まります。
入れ歯本体に傷がつくとそこから細菌が侵入し、入れ歯の劣化や周辺の歯・歯ぐきへの悪影響などにつながります。
入れ歯専用の歯ブラシと歯磨き粉はドラッグストアや通販などで購入できるため、ぜひ探してみてください。
水またはぬるま湯につけて乾燥を防ぐ
入れ歯が乾燥すると歪みや変形、割れなどのトラブルを引き起こす恐れがあります。
このようなトラブルが起きると上手く口にフィットしなくなったり、装着した際に痛みを感じたりする可能性があるため注意が必要です。
こまめに水やぬるま湯につけて保管し、入れ歯の乾燥を防ぎましょう。
雑菌が繁殖するため、できるだけこまめに水を取り替えるようにしてください。
寝る前に入れ歯洗浄剤を使用する
入れ歯の汚れをしっかり落とすために重要な役割を果たすのが、入れ歯洗浄剤です。
入れ歯洗浄剤は、ブラシでは取り除けない目に見えない菌や着色汚れを取り除く役割があります。
入れ歯洗浄剤の使い方は以下の通りです。
- ブラシで目に見える汚れを除去する
- 規定量の水またはぬるま湯に入れ歯を投入する
- パッケージに記載された時間つけ置く
- 薬液から取り出して流水で洗い流す
初めて入れ歯洗浄剤を使う際は、パッケージに記載されている水の分量やつけ置き時間をよく確認しましょう。
残っている歯を守るデンタルケアを丁寧に行う
入れ歯が合わなくなる原因として、残っている歯が虫歯や歯周病によって抜け落ちてしまうことが挙げられます。
このことから、入れ歯を長持ちさせるためには残っている歯のケアも丁寧に行うことが大切です。
具体的には以下のようなケアを行いましょう。
- 正しい方法で歯磨きを行う
- デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
- 食習慣を見直す
- 定期検診を受ける
- 歯科医院でクリーニングを受ける
上記のようなデンタルケアを取り入れ、残っている歯が虫歯や歯周病にならないようにしましょう。
定期検診を受ける
時間が経過することで口腔内環境も徐々に変化し、入れ歯が合わなくなることがあります。
自覚症状がなくても、定期的に歯科医院で口腔内環境をチェックしてもらいましょう。
定期検診では入れ歯の状態をチェックしてもらえるだけでなく、虫歯や歯周病の早期発見、プロによるクリーニングなどが受けられます。
残っている歯を虫歯や歯周病から守るためにも、定期検診を受けることが大切です。
定期検診の頻度は個人差がありますが、2〜3か月に1回程度の頻度がおすすめです。
長持ちする素材の入れ歯を選ぶのもおすすめ

保険適用で作成する入れ歯の平均寿命は3〜5年程度ですが、使用する素材によってはそれ以上長持ちするものもあります。
例えば金属床義歯の場合は8〜10年ほどが寿命といわれ、比較的寿命が長いです。
金属床義歯は土台部分の床が金属でできた入れ歯となっており、素材の強度が高いため保険適用で作るものよりも薄く作れるのが大きな特徴です。
薄い分装着した際の違和感が少ないメリットがあります。
金属床義歯のメリット・デメリットを簡単にまとめると以下の通りです。
メリット | ・耐久度が高い ・装着時の違和感が少ない ・食べ物の温度を感じ取りやすい |
デメリット | ・修理が難しい場合がある ・自費診療のため費用が高額 |
耐久度が高いため、保険適用で作る入れ歯よりも長持ちしやすい傾向にあります。
金属床義歯には以下のような種類があります。
- コバルトクロム義歯:熱を伝えやすく汚れが付着しにくいため、長く快適に使える
- チタン義歯:腐食せず、清潔で審美性の高い状態を維持できる
金属床義歯はただ寿命が長い入れ歯を求める方だけでなく、違和感が少ない入れ歯や審美性の高い入れ歯を求める方におすすめです。
まとめ
入れ歯の平均寿命は3〜5年程度です。
入れ歯が合わなくなる原因として、口腔内環境の変化や入れ歯自体の経年劣化、破損などが挙げられます。
合わない入れ歯を使い続けると歯や歯ぐきを傷つけてしまったり、噛み合わせに悪影響を及ぼしたりする恐れがあります。
どれほど丁寧にお手入れやメンテナンスをしていても経年劣化は避けられないため、3〜5年を目安に新しく入れ歯を作り直す必要があるでしょう。
平山歯科医院では、患者さんの要望や不安をお伺いしたうえで適切なアドバイスを行っています。
治療後のアフターフォローにも力を入れているため、入れ歯治療についてお悩みの方、入れ歯を長持ちさせたいとお考えの方はぜひ気軽にご相談ください。