親知らずが生えかけで痛い!原因から対処法まで徹底解説

親知らずが痛み頬を押さえる男性

親知らずが生えてくる際の痛みは、多くの方が経験する悩みです。

とくに親知らずが生え始める10代後半~20代前半になると、奥歯の奥がズキズキと痛む、歯茎が腫れて食事がつらいなどの症状で、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。

本記事では、生えかけの親知らずが痛む原因をはじめ、痛みがいつまで続くのか、自宅でできる応急処置、歯科医院での治療法、そして痛みを放置することのリスクまで解説します。

親知らずとは?なぜ痛みやすいのか

炎症を起こした親知らずのレントゲンイメージ画像

親知らずは、正式には「第三大臼歯」という名称で、上下左右に1本ずつ、計4本生える可能性がある歯です。

10代後半~20代前半に生えてくることから「親知らず」や「智歯(ちし)」と呼ばれています。

現代人は顎が小さい傾向があり、親知らずが生えるスペースが不足していることが多いです。

そのため、横向きや斜めに生えてきたり、一部だけが歯茎から顔を出す状態になったりすることがよくあります。

このような異常な生え方が痛みの原因となっています。

生えかけの親知らずが痛む5つの主な原因

横向きの親知らずのイメージ画像

生えかけの親知らずが痛い場合、次の5つが原因として考えられます。

  1. 隣の歯や神経への圧迫
  2. 歯茎の炎症(智歯周囲炎)
  3. 歯茎の噛み込み
  4. 食べかすの詰まり
  5. 歯が生えてくる際の歯茎の切れ

それぞれについて解説します。

1. 隣の歯や神経への圧迫

親知らずが生えてくる際、隣の歯や歯茎を押しながら出てこようとします。

神経や周りの組織を圧迫し、鈍い痛みや圧迫感を覚えることがあります。

とくに親知らずが横向きや斜めに生えている場合は、圧迫が続くために痛みが改善されにくく、将来的に歯並びが悪くなる可能性があります。

2. 歯茎の炎症(智歯周囲炎)

生えかけの親知らずと歯茎の間には深い溝(ポケット)ができやすく、食べかすや細菌がたまりやすくなります。

ポケットには歯ブラシも届きにくいため、十分な清掃ができず、虫歯や歯周病が発症しやすいのが特徴です。

とくに「智歯周囲炎」と呼ばれる、親知らず周りの歯茎に起こる炎症は、生えかけの親知らずで非常に多いトラブルです。

智歯周囲炎では、歯茎が赤く腫れ、触ると痛み、場合によっては膿が出ることもあります。

3. 歯茎の噛み込み

生えかけの親知らずは、歯の一部が歯茎に覆われた状態です。

歯茎に覆われた状態で食事をすると対合歯(噛み合う歯)が歯茎を噛んでしまいます。

結果、歯茎が傷ついて痛みや腫れを引き起こします。

繰り返し噛むことで傷が治らず、慢性的な炎症状態になることもあります。

4. 食べかすの詰まり

親知らずが斜めに生えていると、手前の歯との間に隙間ができ、食べかすが詰まりやすくなります。

詰まった食べかすが歯茎を圧迫したり、細菌の温床となって炎症を引き起こしたりすることで痛みが生じます。

5. 歯が生えてくる際の歯茎の切れ

親知らずが歯茎を突き破って生えてくる過程で、歯茎が切れることがあります。

歯茎が切れると、一時的に強い痛みを感じることがあります。

生えかけの親知らずの痛みはいつまで続く?

親知らずが痛み歯磨き中に頬を押さえる女性

親知らずが生えかけで痛む期間は、状態や個人差によって大きく異なります。

ケース別で見ていきましょう。

正常に生えてきた場合

親知らずがまっすぐ生えてきて、スペースも十分にある場合は、1週間程度で自然に治まることが多いです。

しかし、生え方に問題がある場合は、さらに痛みが続くことがあります。

智歯周囲炎を起こしている場合

親知らず周囲の歯茎に炎症が起きている場合、痛みや腫れのピークは炎症が起こってから3〜4日頃に訪れます。

その後、1週間程度で症状が落ち着きますが、治療を受けない場合は完治まで1ヶ月程度かかることもあります。

ただし、智歯周囲炎は一度治っても繰り返し起こりやすい病気です。

根本的な原因が解決されない限り、痛みと腫れを何度も繰り返す可能性があります。

横向き・斜めに生えている場合

親知らずが横向きや斜めに生えていて、そのまま生えかけの状態で止まってしまう場合があります。

こうしたケースでは、歯が完成するまで隣の歯を押し続けるため、断続的な痛みが数週間から数ヶ月、場合によってはさらに続くこともあります。

生えかけの親知らずが痛むときに自宅でできる応急処置6選

生えかけの親知らずが痛み鎮痛剤を飲もうとしている人

生えかけの親知らずの痛みを和らげるために、自宅でできる応急処置があります。ただし、あくまで一時的な対処法です。

根本的に治すには歯科医院で治療を受けましょう。

1. 優しく丁寧に歯を磨く

やわらかめの歯ブラシを使い、親知らず周辺を優しく磨きましょう。

歯ブラシを45度の角度で当て、小刻みに動かすことがポイントです。

ヘッドの小さい歯ブラシやタフトブラシを使うと、奥まで届きやすくなります。

2. うがい薬で洗浄する

殺菌作用のあるうがい薬を使用することで、口腔内の細菌を減らし、炎症の悪化を防ぐことができます。

アズレンスルホン酸ナトリウムや、セチルピリジニウム塩化物(CPC)配合のうがい薬が効果的です。

3. 患部を冷やす

濡れタオルや冷却ジェルシートを頬に当てて、外側から優しく冷やしましょう。

ただし、急激に冷やしすぎると逆に痛みが増すことがあるため、氷を直接当てるのは避け、5分冷やしたら30分休めるなど、間隔をあけて行いましょう。

4. 市販の鎮痛剤を服用する

ロキソニンやイブプロフェンなどの市販の鎮痛剤は、一時的に痛みを和らげる効果があります。

痛みが我慢できなくなる前に、早めに服用することがポイントです。

ただし、用法・用量を守り、長期間の連用は避けましょう。

5. 十分な休息と栄養をとる

疲労やストレスは免疫力を低下させ、炎症を悪化させる原因となります。

十分な睡眠をとり、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

痛みで食事が困難な場合は、ゼリー飲料などで栄養補給することも大切です。

6. 血行を良くする行為を避ける

アルコール摂取、激しい運動、長時間の入浴、サウナなどは血行を促進し、痛みや腫れを悪化させる可能性があります。

痛みがある間は、血行を良くする行為は控えて、安静に過ごしましょう。

生えかけの親知らずの歯科医院での治療法

歯科医院の処置室

歯科医院では、生えかけの親知らずの痛みに対して以下のような治療を行います。

1. 薬の処方

歯科医院では、症状に応じて抗生物質や鎮痛剤を処方します。

抗生物質は細菌感染を抑え、炎症の改善を目指します。

処方薬により、痛みや腫れを効果的にコントロールできます。

2. 洗浄・消毒

親知らず周りの歯周ポケットを専用の器具で洗浄し、たまった汚れや細菌を除去します。

必要に応じて抗菌剤の軟膏を直接塗布することもあります。

3. 歯肉弁切除術

生えかけの親知らずを覆っている歯茎を切除する手術です。

清掃しやすくなるため、食べかすがたまりにくくなり、親知らずのトラブルの予防につながります。

4. 削る・噛み合わせ調整

対合歯が歯茎を噛んでいる場合は、親知らずの尖った部分を少し削って丸めることで、歯茎への刺激を減らすことができます。

5. 抜歯

横向きや斜めに生えていて、今後もトラブルを起こす可能性が高い場合、虫歯が進行している場合、智歯周囲炎を繰り返す場合などは、抜歯が推奨されます。

ただし、炎症が強い時期を避けたうえで、薬で炎症を抑えてから抜歯することが重要です。

生えかけの親知らずの痛みを放置する7つのリスク

親知らずが痛み頬を押さえる女性

生えかけの親知らずの痛みを「そのうち治るだろう」と放置すると、以下のような深刻なトラブルに発展する可能性があります。

  1. 虫歯・智歯周囲炎の重症化
  2. 口臭の悪化
  3. 歯並びへの悪影響
  4. 口が開きづらくなる(開口障害)
  5. 顔の腫れ
  6. 食事困難
  7. 発熱・全身症状

それぞれ見ていきましょう。

1. 虫歯・智歯周囲炎の重症化

放置すると虫歯が進行し、神経まで達して激痛を引き起こす可能性があります。

智歯周囲炎も重症化すると、顔全体が腫れ上がり、最悪の場合「蜂窩織炎」という重篤な感染症に発展することもあります。

2. 口臭の悪化

親知らず周辺にたまった食べかすや細菌により、強い口臭が発生します。

膿が出ている場合は、独特の悪臭を放ち、社会生活に支障をきたすこともあります。

3. 歯並びへの悪影響

横向きに生えた親知らずが隣の歯を押し続けることで、前歯の歯並びまで乱れる可能性があります。

せっかく矯正治療を受けた方でも、親知らずが原因で後戻りすることがあります。

4. 口が開きづらくなる(開口障害)

炎症が咀嚼筋にまで及ぶと、口を開ける動作が困難になります。

重症化すると指1本分も口が開かなくなることもあり、食事や会話、歯科治療にも支障をきたします。

5. 顔の腫れ

炎症が広がると、頬から顎下にかけて大きく腫れ、顔の形が変わるほどになることもあります。

6. 食事困難

痛みと腫れ、開口障害により、食事が困難になります。栄養不足や脱水症状を引き起こす危険性もあります。

7. 発熱・全身症状

細菌感染が全身に広がると、38度以上の高熱、倦怠感、頭痛などの全身症状があらわれます。

重症化すると入院治療が必要になることもあります。

親知らずが生えかけで痛い時のよくある質問

Q&Aのイラスト

親知らずの生えかけによる痛みに関して、多くの方が抱く疑問をまとめました。

Q1. 親知らずが生えかけで痛いのですが、必ず抜歯しなければいけませんか?

親知らずが生えかけで痛いからといって、必ず抜歯が必要というわけではありません。

まっすぐ正常に生えてきて、スペースも十分にある場合は、一時的な痛みで済むことが多く、抜歯せずに経過観察となることもあります。

ただし、横向きや斜めに生えている場合、繰り返し炎症を起こす場合、隣の歯に悪影響を与える場合などは、抜歯の検討が必要です。

歯科医師がレントゲンで状態を確認してから判断します。

Q2. 親知らずの生えかけの痛みで市販の痛み止めが効かない場合はどうすればいいですか?

市販の痛み止めを服用しても効果がない場合は、智歯周囲炎が重症化している可能性があります。

このような場合は、抗生物質での治療が必要になることが多いため、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。

応急処置として、患部を冷やす、うがい薬で口腔内を清潔に保つなどの対処を併用することも大切です。

Q3. 親知らずが生えかけの状態が長く続いていますが、このまま様子を見ていても大丈夫ですか?

生えかけの状態が長期間続いている場合、そのまま完全に生えずに止まってしまう可能性があります。

放置すると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

また、隣の歯を押し続けて歯並びに影響を与えたり、繰り返し炎症を起こしたりする可能性もあります。

歯科医院を受診し、治療を受けることが推奨されます。

まとめ

生えかけの親知らずの痛みは、一時的な応急処置で和らげることはできます。

しかし、根本から治療するには、歯科医院を早めに受診し、適切な治療を受けることが必要不可欠です。

以下のような症状がある場合は、早急に歯科医院を受診しましょう。

  • 痛み止めが効かない激しい痛み
  • 顔が腫れて熱がある
  • 口が開きにくい
  • 飲み込む時に痛みがある
  • 痛みが1週間以上続いている

親知らずのトラブルは放置すればするほど治療が難しくなり、回復にも時間がかかります。

「痛みが引いたから大丈夫」と油断しないように注意しましょう。

定期的な歯科検診を受け、親知らずの状態をチェックしてもらうことで、トラブルを未然に防ぐこともできます。

平山歯科医院では、治療前に丁寧なカウンセリングを実施し、不安や疑問にしっかりお答えしながら、適切な治療方法を提案しています。

生えかけの親知らずによる痛みで悩んでいる方は、ぜひ早めに当院へご相談ください。

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