歯周病と虫歯の違いとは?症状・原因・進行の仕方・治療方法について解説

唇をめくって歯を見る女性

歯周病と虫歯はどちらも歯を失う原因として多い病気です。

似たような病気と考える方も多いかもしれませんが、実際には症状や進行の仕方、治療方法などに大きな違いがあります。

この記事では、歯周病と虫歯の違いについて詳しく解説します。

それぞれのセルフチェック方法や予防方法もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

歯周病と虫歯の違い

歯の痛みで頬を押さえる女性

歯周病は歯茎や歯を支える骨が歯周病菌によって溶かされていく病気で、歯自体には影響を与えません。

虫歯は虫歯菌によって歯を溶かしていく病気で、歯茎を溶かすことはありません。

このように歯周病と虫歯は全く異なる病気です。

ここではそれぞれの症状・原因・進行の仕方・治療方法の4つの違いを見てみましょう。

症状の違い

歯周病と虫歯の症状の違いは以下の通りです。

  • 歯周病:歯茎の赤み、腫れ、出血、口臭など
  • 虫歯:歯の痛み

ここではそれぞれの症状の違いについて解説します。

歯周病の症状

歯周病の主な症状は歯茎の赤み、腫れ、出血、口臭などです。

症状が進行すると歯を支える歯槽骨という骨が溶け、歯がぐらぐらしたり抜けたりします。

初期段階では目立った自覚症状がないため、自分ではなかなか気づきにくいです。

虫歯の症状

虫歯の主な症状は歯の痛みです。

歯の変色から始まって表面に小さな穴が開き、冷たい食べ物が歯に触れると痛みを感じるようになります。

さらに症状が進行すると何もしなくてもズキズキとした痛みを感じるようになり、最終的には歯根が死に、歯が崩壊してしまいます。

虫歯も歯周病と同様、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。

症状が進行する前に早期発見・治療するためには、定期的に歯科検診を受けることが大切です。

原因の違い

歯周病と虫歯には以下のような原因の違いがあります。

  • 歯周病:嫌気性細菌(歯周病菌)
  • 虫歯:ミュータンス菌、糖質、歯質

ここではそれぞれの原因の違いについて解説します。

歯周病の原因

歯周病の直接的な原因は、歯垢(プラーク)の中に棲み着く嫌気性細菌(歯周病菌)です。

歯垢は歯磨きが不十分だと付着する粘着性の物質で、1mgあたり1億個以上の細菌が存在しているとされます。

歯と歯茎の隙間の歯周ポケットに歯垢が潜り込み、そこで増殖しながら歯周組織を破壊し炎症を繰り返します。

炎症を起こした際に出る毒性物質が歯肉の血管に入り込むと、血流にのって全身を巡り、様々な病気を引き起こしたり悪化させたりすることもあるため注意が必要です。

歯周病の原因については以下の記事でも詳しく解説しているため、ぜひこちらも合わせてチェックしてみてください。

歯周病の治し方と感染する7つの原因を詳しく解説

虫歯の原因

虫歯はミュータンス菌、糖質、歯質の3つが原因になって引き起こされます。

ミュータンス菌は約1μm(1/1000mm)の球状で、歯垢の中に含まれる細菌です。

糖質から酸を作り出す性質を持ち、この酸によって歯の成分であるカルシウムやリンを溶かします。

ミュータンス菌が酸を作り出す際に使われる糖質は、甘い食べ物に良く含まれるものです。

口の中に食べ物がある時間が長い人ほど、歯の表面が酸にさらされる時間が長くなることになります。

また虫歯になりやすいかどうかは、歯質によって左右されます。

歯の表面はエナメル質という固い層で覆われており、この層が強ければ強いほど虫歯になりにくいです。

エナメル質形成不全など、先天的にエナメル質が弱い方は虫歯になりやすい傾向にあります。

原因の一つであるミュータンス菌は完全に取り除くことができませんが、正しい予防方法を取り入れれば虫歯のリスクを抑えられます。

進行の仕方の違い

歯周病と虫歯はどちらも段階的に症状が進行します。ここではそれぞれの進行の仕方の違いについて解説します。

歯周病の進行の仕方

歯周病は歯肉炎と歯周炎の2つの症状があり、以下のように進行します。

  1. 歯茎が引き締まって弾力がある状態(健康的な状態)
  2. 歯茎に炎症が起きて歯周ポケットに2~3mmの隙間ができる(歯肉炎)
  3. 歯茎の炎症が悪化し、歯周病菌が歯周組織に侵入して歯槽骨や歯根膜を破壊(軽度の歯周炎)
  4. 炎症がさらに拡大して歯がぐらつき始める(中度の歯周炎)
  5. 歯槽骨が半分以上破壊されて歯がぐらぐらになる(重度の歯周炎)

歯周病の症状が悪化すると歯茎の痛みや腫れ、出血、膿などを伴うほか、口臭や知覚過敏などの自覚症状も出てきます。

最終的には歯がぐらぐらとして食べ物を咀嚼しづらくなるため、抜歯が必要になることもあります。

虫歯の進行の仕方

虫歯にはC0からC4まで5段階の進行度があります。

  1. C0:エナメル質表面がわずかに溶けている状態で自覚症状はない
  2. C1:エナメル質内部まで溶けた状態で自覚症状はほとんどない
  3. C2:象牙質まで達した状態で冷たいものが触れると痛みが生じる
  4. C3:歯の神経まで達した状態で常にズキズキとした痛みが生じる
  5. C4:歯が崩壊して根だけが残った状態で、体の免疫力が低下すると腫れや激しい痛みが生じる

C0とC1は初期虫歯といわれる段階で、この時点ではほとんど自覚症状がありません。

痛みを感じるようになったらC2以降まで虫歯が進行してしまっている可能性が高く、歯科医院での治療が必要になります。

C4まで進行すると神経が死んでしまうため急に痛みを感じなくなりますが、体の免疫力の低下によって突然腫れや激しい痛みが生じる場合があります。

最終的には歯が崩壊して本来の機能が失われてしまうため、できるだけ早めに治療を始めることが大切です。

治療方法の違い

歯周病と虫歯には以下のような治療方法の違いがあります。

  • 歯周病:プラークコントロール、生活習慣の改善、歯茎の機能回復
  • 虫歯:コンポジットレジンの充填、詰め物、被せ物、根管治療、抜歯など

ここではそれぞれの治療方法の違いについて解説します。

歯周病の治療方法

歯周病の治療は、歯と歯の間やその周りにたまった歯垢や歯石を除去し、歯垢を溜め込まないためのプラークコントロールが基本です。

プラークコントロールによって歯垢を除去し、歯周病の原因である細菌の数を可能な限り減らすことで、歯磨きだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシを使用して歯垢の蓄積を防ぎます。

ただし、進行した歯周病はプラークコントロールだけでは完治しないこともあり、歯周外科手術などの治療を行うこともあります。

これらの治療により歯茎の状態が改善されたら、定期検診に移行します。

虫歯の治療方法

虫歯の治療方法は進行度によって異なります。

  • C0:歯科医院での積極的な治療は行わない。生活習慣の改善や正しい歯磨きを行う
  • C1:穴が開いている部分にコンポジットレジンの充填を行う
  • C2:虫歯部分を削って取り除き、詰め物や被せ物で上から覆う
  • C3:根管治療を行う
  • C4:根管治療を行う。歯を残すのが難しい場合は抜歯をする

初期の虫歯は歯磨きの仕方や生活習慣の見直しで改善できる場合もありますが、症状が進行すると歯を削ったり根管治療を行ったりする必要があります。

C4まで進行すると歯を残すのが難しくなるため、抜歯をして入れ歯・ブリッジ・インプラントのいずれかの治療で失った歯を補います。

歯周病と虫歯のセルフチェック方法

鏡で歯を見る女性

歯周病と虫歯のセルフチェック方法を紹介します。

歯周病のセルフチェック方法

歯周病のセルフチェック項目は以下の通りです。

  • 朝起きたときに口の中がねばつく
  • 歯磨きをしたときに出血する
  • 硬いものが噛みにくい
  • 口臭が気になる
  • 歯茎が腫れる
  • 歯茎が白っぽく膨らんでいる部分がある
  • 歯と歯の間にすき間がある
  • 歯がぐらぐらする
  • 歯が浮いている感じがする
  • 膿が出ている
  • 歯根が露出している

上記のうち一つでも当てはまる場合、歯周病の可能性が高いといえます。

鏡を見てぜひ自分でチェックしてみてください。

虫歯のセルフチェック方法

虫歯のセルフチェック項目は以下の通りです。

  • 歯が黒くなっている
  • 歯の表面に白い斑点がある
  • 歯に穴が開いている
  • 冷たいものを食べるとしみる
  • 熱いものを食べるとしみる
  • 歯がズキズキと痛む

虫歯も歯周病も早期発見・早期治療が大切なため、ぜひ自分でチェックしてみてください。

歯周病と虫歯の予防方法

2つ並んだ歯ブラシ

歯周病と虫歯の予防方法は以下の通りです。

  • 正しい歯磨きの仕方を身につける
  • フッ素入り歯磨き粉を使用する
  • 生活習慣を改善する
  • 定期的に歯科検診を受ける

歯周病も虫歯も正しい歯磨きをすることが重要です。

磨き残しがあると歯垢が溜まり、そこから歯周病や虫歯が進行してしまいます。

正しい歯磨きのポイントは以下の通りです。

  • 歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に当てる
  • 歯ブラシの毛先が広がらない程度の弱い力で動かす
  • 5~10mm程度の幅で小刻みに歯ブラシを動かす
  • 1~2本ずつ丁寧に磨く

また自分の歯磨きの仕方に自信がない場合は、歯科医院でブラッシング指導を受けるのもおすすめです。

歯科検診ではブラッシング指導のほか、プロの手によるクリーニングやフッ素塗布などの処置を受けられます。

歯科医院で行うクリーニングでは歯磨きでは落とせない歯垢や歯石を取り除けるため、定期的に通う習慣をつけると良いでしょう。

定期検診の頻度は2〜3か月に1回がおすすめですが、歯科医師と相談のうえで自分に合った通院ペースを決定することをおすすめします。

まとめ

歯周病と虫歯はどちらも歯を失う原因として多い病気ですが、症状や原因、進行の仕方、治療方法などに明確な違いがあります。

歯周病は歯垢に潜む嫌気性菌、虫歯はミュータンス菌や糖質、歯質などが原因で発症するものです。

また歯周病と虫歯はどちらも段階的に症状が進行し、初期段階ではほとんど自覚症状がないという共通点があります。

症状を放置しておくと最終的には歯を失ってしまう可能性があるため、早期発見・早期治療が重要です。

平山歯科医院では虫歯や歯周病を予防するための定期検診やブラッシング指導、歯石除去、フッ素塗布などを行っています。

定期検診を受けることで虫歯や歯周病を予防できるだけでなく、万が一虫歯になっていても早い段階で発見し治療を始めることができるため、ぜひ来院をご検討ください。

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