歯周病が重度まで進行した状態とは?原因や治療法を徹底解説

重度歯周病の治療

「歯ぐきが腫れている」「歯がぐらついている」「口臭が強くなった気がする」と感じた場合、重度の歯周病かもしれません。

歯周病は初期には自覚症状が少ないため、気づいたときにはすでに深刻な状態に進行しているケースも珍しくありません。

放置すると歯を失うだけでなく、心疾患や糖尿病などの全身疾患とも関係することがわかっています。

この記事では、重度歯周病の定義や見分け方、原因、治療法、セルフケア方法までを徹底解説します。

重度歯周病とは?

重度歯周病の口腔内

歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨などの歯周組織が炎症によって破壊される病気です。

中でも重度歯周病は、歯を支える骨(歯槽骨)の大部分が失われ、歯がぐらついたり抜け落ちたりする可能性が高い状態です。

炎症が歯肉から深部へと進行すると、歯周ポケットが深くなり、細菌が内部に溜まりやすくなります。

これにより、歯を支える骨が吸収され、歯の動揺や強い口臭、膿の排出といった症状が現れます。

重度になると、通常のクリーニングやセルフケアでは改善できず、外科的処置を含む専門的な治療が必要です。

歯周病の進行段階

重度歯周病で歯石がこびりついた口腔内

歯周病は進行具合によって、一般的に「軽度」「中等度」「重度」の3段階に分類されます。

軽度では歯ぐきの腫れや出血が見られるものの、歯槽骨の吸収はわずかです。

中等度になると歯周ポケットの深さが増し、歯槽骨の破壊が進行します。

重度では歯周ポケットが6mm以上になり、歯が動揺したり、膿が出たり、歯槽骨の大半が失われる状態となります。

進行段階に応じて治療法が異なるため、早期の診断と段階ごとの適切な処置が必要です。

自覚症状が少ない初期の段階こそ、定期検診でのチェックが重要になります。

重度歯周病の症状

重度歯周病で痛みが出ている女性

重度歯周病では、明確な自覚症状がいくつか現れるのが特徴です。

代表的なのは、歯ぐきの腫れや出血、膿の排出、そして歯のぐらつきです。

特に朝起きたときの口のネバつきや、口臭の悪化は、重度化のサインとして注意が必要です。

また、歯周ポケットが深くなることで、歯ブラシでは届かない場所に汚れがたまり、さらに炎症が悪化しやすくなります。

見た目にも歯ぐきが下がり、歯が長くなったように見えることがあります。

こうした症状がある場合は、速やかに歯科医院を受診し、正確な診断を受けましょう。

歯ぐきの腫れ・出血・膿

重度の歯周病になると、歯ぐきが赤く腫れ、柔らかくブヨブヨした状態になります。

歯磨きのたびに出血したり、特に触れていないのに出血が起こることもあります。

また、歯周ポケットに膿がたまり、指や舌で押すと白く濁った液体が滲み出ることもあり、この膿は悪臭のもとになり、口臭がひどくなる原因の1つです。

慢性的な腫れ・出血・膿が見られる場合、歯ぐきの内部で炎症が起きている可能性が高いため、早急に歯科医院を受診しましょう。

歯のぐらつき

歯周病が重度に進行すると、歯を支える歯槽骨が大きく吸収され、歯の固定力が低下します。

その結果、舌で押したときに歯が明らかにぐらつく、食事の際にしっかり噛めないといった違和感を覚えるようになります。

ぐらつきが軽度なうちは歯を残せる可能性もありますが、放置すれば状態が悪化し、自然に歯が抜け落ちるリスクも高まるため、注意が必要です。

早期治療によって歯の保存が可能になることもあるため、ぐらつきに気づいた時点で歯科医院を受診しましょう。

歯周ポケットが深くなる

歯周病の進行度は、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの隙間の深さで判断されます。

健康な状態では1〜3mm程度が正常範囲とされますが、重度になると6mm以上に深くなることもあります。

ポケットが深くなるほど、そこに食べかすやプラーク、細菌が溜まりやすくなり、炎症や骨の吸収を悪化させやすいです。

歯周ポケットは自分では見えない部分だからこそ、定期検診でのチェックが重要です。

重度歯周病になる原因

喫煙している女性

歯周病が重度に進行する背景には、日常のケア不足や生活習慣、全身疾患など複数の要因が複雑に絡み合っています。

重度歯周病になる原因を正しく理解し、リスクを減らす行動を取ることが、重症化を防ぐポイントです。

以下では、重度歯周病につながる主な原因と注意すべき生活習慣を詳しく解説します。

歯磨き不足や間違ったケア習慣

歯周病の主な原因は、歯の汚れ=プラークが長期間にわたり除去されないことです。

歯磨きをしているつもりでも、ブラッシング方法が間違っていると十分に汚れを落とせず、歯周病の原因菌が増殖しやすくなります。

特に、歯と歯ぐきの境目や歯間の清掃が不十分だと、歯周ポケットが深くなり、炎症が進行して重症化しやすいです。

正しい歯磨き法や歯間ブラシ・フロスなどの補助清掃具を使うことが、重症化を防ぐ重要なポイントです。

喫煙・糖尿病・ストレスなどの全身的要因

歯周病は単なる口腔の問題ではなく、全身の健康状態とも深く関係しています。

喫煙は歯ぐきの血流を悪化させ、免疫反応を抑えるため、歯周病の進行を早める要因です。

また、糖尿病は血糖値のコントロールが不良な状態だと感染症にかかりやすく、歯周組織の修復力も低下するため、歯周病が重症化しやすくなります。

ストレスや睡眠不足も免疫力の低下につながり、歯周病を悪化させるリスク要因の一つです。

重度歯周病の治療法

歯科医療器具

重度歯周病と診断された場合、進行度に応じた計画的な治療が必要となります。

まずは炎症の除去と原因除去を目的とした初期治療から始まり、必要に応じて外科処置や補綴治療へと進みます。

次に、重度歯周病の治療法を詳しく見ていきましょう。

初期治療

まず行うのは、プラークや歯石を取り除いて炎症を抑える初期治療です。

スケーリングで歯の表面や歯周ポケット内の歯石を除去し、ルートプレーニングで歯の根面を滑らかに整えて細菌の再付着を防ぎます。

初期治療で歯ぐきの腫れや出血が落ち着き、歯周ポケットの改善がみられれば、外科処置を避けられることもあります。

外科処置

初期治療で改善しない場合、歯ぐきを切開して奥深くの歯石や感染組織を除去する「フラップ手術」が行われます。

重度の骨吸収がある場合には、エムドゲインやGTRといった再生療法が適応されることもあります。

一方で、歯の動揺が強く骨の支えがほぼない場合は、抜歯を検討する必要があります。

抜歯の判断は「残せるかどうか」だけでなく、周囲の歯への影響も含めて慎重に行われます。

補綴治療

抜歯した場合には、歯の機能と見た目を回復するための補綴治療が必要です。

選択肢としては「インプラント」「入れ歯」「ブリッジ」があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

インプラントは天然歯に近い感覚で使用できますが自費診療で費用が高く、治療期間も長めです。

入れ歯やブリッジは保険適用のものもあり比較的手軽ですが、周囲の歯への負担がかかる点に注意が必要です。

重度歯周病治療の費用相場

豚の貯金箱にコインを入れている様子

重度歯周病の治療費は、治療内容や医院によって大きく異なります。

スケーリングやフラップ手術などの基本的な歯周治療は、保険適用内で受けられることが多く、自己負担は数千円〜1万円程度です。

一方で、再生療法やインプラントといった高度な治療は自費診療となり、数万〜数十万円の費用がかかります。

費用面が不安な場合は、治療前に見積もりや支払い方法について相談することが大切です。

重度歯周病の予防方法

歯科医院の処置室

重度歯周病は一度治療しても、生活習慣やケアの方法を見直さなければ再発する可能性が高い病気です。

歯科医院での治療と並行して、自宅での正しいセルフケアを実践することが再発予防の鍵となります。

以下では、歯磨きの基本やアイテム選び、定期的なメンテナンスの重要性について詳しく解説します。

正しい方法で歯磨きをする

重度歯周病の予防には、毎日の歯磨きを正しく行うことが欠かせません。

歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握り、歯と歯ぐきの境目に毛先を45度の角度で当てて小刻みに動かします。

このほか、デンタルフロスや歯間ブラシも取り入れることで、歯ブラシでは届かない隙間のプラーク除去が可能になります。

特に歯間ブラシはサイズ選びが重要なので、歯科医で適正サイズを確認するのがおすすめです。

これらを毎日の習慣にすることで、再発リスクを下げられます。

定期的な歯科検診を受ける

重度歯周病の治療後も、定期的な歯科検診は不可欠です。

一般的には3〜6ヶ月に1回のペースで通院し、歯ぐきの状態や歯周ポケットの深さ、セルフケアができているのかをチェックしてもらいます。

また、歯科衛生士によるPMTC(プロによるクリーニング)で、歯石やバイオフィルムを除去することも大切です。

自己流のケアだけでは取り切れない汚れが再発の原因になるため、プロの手で定期的にリセットすることが再発防止につながります。

重度歯周病が引き起こすリスクと全身疾患

医師と医療のイメージ画像

重度歯周病は、口腔内だけでなく全身の健康にも影響を与える病気です。

炎症を引き起こす歯周病菌や毒素が血管を通じて全身に運ばれることで、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患のリスクが高まりやすいです。

また、糖尿病とは相互に悪影響を及ぼし合う関係にあり、歯周病が進行すると血糖コントロールが難しくなることもあります。

さらに、高齢者においては誤嚥性肺炎の原因になるほか、妊娠中の女性では早産や低体重児出産のリスクも指摘されています。

歯周病は口の中の病気にとどまらず、全身疾患の引き金になるため、早期の発見と治療が極めて重要です。

まとめ

重度歯周病は、歯ぐきの腫れや出血、歯のぐらつき、口臭などの症状が現れる口腔疾患です。

原因としては歯磨き不足や生活習慣病などが関係し、放置すれば歯の喪失や全身疾患のリスクが高まります。

しかし、早期の対応と専門的な治療により、進行を食い止め、歯を残すことも可能です。

正しいセルフケアの継続と、歯科医院での定期的なメンテナンスを習慣化することが再発予防のポイントとなります。

平山歯科医院では、重度歯周病の治療から歯周病を予防するための歯科検診まで、幅広く対応しています。

歯周病の症状が気になる場合には、ぜひお気軽に当院にご相談ください。

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